エンドポイントにもIPSを、eEyeが新製品を発表

セキュリティ専業企業のeEye Digital Securityは7月26日、ゼロデイ状態での攻撃も含め、さまざまな悪質なトラフィックから企業を守る新製品「Blink」を発表した。

» 2004年07月27日 18時47分 公開
[IDG Japan]
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 カリフォルニア州アリソビエホに本社を置くeEye Digital Securityは7月26日、新しいエンドポイントセキュリティ製品「Blink」を発表した。同社によると、この製品は、インターネットから仕掛けられる、未知の脆弱性を突いた攻撃(ゼロデイ状態の攻撃)を食い止めるという。

 eEyeが発表した侵入防御ソフトウェア(IPS)クライアントのBlinkは、脆弱性スキャニング機能に加え、ネットワークベースおよびホストベースのファイアウォール機能を備える。eEyeのフィラス・ラウーフCOO(最高業務執行責任者)によると、この製品は同社の脆弱性専門家が開発したソフトウェア侵入に関するインテリジェント機能を利用することにより、セキュリティ企業が攻撃を公式に特定し、防御用の「シグネチャ」を発行する前に攻撃を検知することができるという。

 Blinkはネットワーク層で動作し、FTP(File Transfer Protocol)やHTTP(Hypertext Transfer Protocol)などのネットワークサービスの呼び出しを再構築し、このトラフィックを、各種の侵入手法をリストしたeEyeの辞書と照らし合わせる。ラウーフ氏によると、このアプローチは競合製品の方式よりも優れているという。他社製品は「プロセス層」で動作し、アプリケーションとOS間のやり取りを分析して危険な挙動がないかチェックするのに対し、Blinkは悪質なトラフィックがWebサーバなどの重要なアプリケーションに到達する前にそれを排除することができるからだ。

 Blinkクライアントは、MicrosoftのWindows OS(Windows 2000/XP、Windows 2000 Serverなど)が動作するサーバ/ワークステーション/ノートPC上で動作する。各クライアントは、企業のデータセンターにある集中管理コンソールから管理するようになっている、とラウーフ氏は説明する。

 eEyeによると、この製品は大企業向けで、1カ所から配備/管理/更新することができるという。

 モバイルワーカーがいる企業の場合、Blinkの統合型ファイアウォールが、社内ネットワークの外で取り込まれた悪質コードの侵入を食い止める。例えば、Blinkはウイルスあるいはワームに関連した活動を認識し、感染したアプリケーションをマシン上で停止させることにより、ネットワーク上にあるほかのホストを保護することができる。感染していないアプリケーションは動作を継続することができるので、ユーザーの生産性が低下することはないという。

 Continental Airlinesの情報セキュリティ担当ディレクター、アンドレ・ゴールド氏によると、1月以来、デスクトップとサーバシステム上でBlinkの評価を行ってきたという。同社ではBlinkのIPS機能とスキャニング機能をテストしているが、ネットワーク/アプリケーションファイアウォールを利用するつもりはないとしている。

 航空会社の同社では、実際の業務環境でBlinkをまだ使用していないが、ゴールド氏によると、ほとんど設定なしでBlinkが強力な防護を提供するのに驚いたという。

 「何百台あるいは何千台ものマシンにわたって侵入防止機能を管理するのは大変だ。『このマシンはWebサーバだからこう設定して、こちらはSQLサーバだからこう設定しなければならない』といった具合だ」と同氏は話す。

 これに対してBlinkの場合、IPS機能をオンにするだけで、Blinkが動作するシステム上でウイルスやワームの発生を阻止する防護機能を実現できた、とゴールド氏は話す。また、これらのシステム上のすべてのアプリケーション用にポリシーを作成する手間も省けたという。

 「メモ帳(Microsoftのテキストエディタ)が動作しているのかどうか、ということには関心がない。SlammerやBlasterを食い止めたいだけなのだ」とゴールド氏は話す。

 ゴールド氏によると、他社のIPS製品では、Continentalで使っている多数のアプリケーションのそれぞれに対して異なるポリシーとルールを作成するのに何時間も費やさねばならなかったという。

 だが同氏は、Blinkのレポート生成機能と管理インタフェースについては低い評価を下しており、成熟した競合製品と比べると未熟だとしている。また、Continentalの社内ネットワークではUNIXとLinuxの利用が拡大しており、これらのプラットフォームに対応した製品もいずれ必要になるという。Blinkは今のところ、両プラットフォームをサポートしていない。

 「今日起きている事態を阻止しようとするに当たっては、Windowsだけが問題なのではない。明日には攻撃の矛先が変わる可能性もあるのだ」(ゴールド氏)

 Blinkは発表と同時に出荷され、サブスクリプション方式で販売されている。価格は、10ライセンスパッケージの場合で1台のデバイスに付き年額56ドル。ラウーフ氏によると、eEyeでは、サーバ向けとしてBlinkと自社の「Secure Internet Information Services」製品を組み合わせ、サーバ1台に付き年額600ドルのサブスクリプション方式で販売しているという。

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