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» 2004年09月16日 18時06分 UPDATE

Sun-MSの和解がOpenOfficeに落とす影

SunとMicrosoftが4月に交わした和解合意に、MicrosoftがOpenOfficeユーザーに対して訴訟を起こす権利を認める条項があることが明らかになった。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 米Microsoftは9月15日、オープンソースプロジェクト「OpenOffice」の開発者ともっと密に協力する方法を模索していることを明らかにした。だが同社はその一方で、OpenOffice開発者を訴える権利を確保しているようだ。今週公表されたMicrosoftとOpenOfficeの主要なスポンサー、Sun Microsystemsの合意文書から明らかになった。

 問題の合意は今年4月、SunとMicrosoftの数十億ドル規模の和解の一環として結ばれた。この合意文書は、13日にSunが米証券取引委員会に提出した書類の一部として公表された。

 4月の合意では、Microsoftは2004年4月1日以降にインストールされたOpenOfficeについて、利用者あるいは配布者に損害賠償を請求できることになっている。ただし、Sunが提供するOpenOfficeの有料版「StarOffice」のユーザーは、この合意の下では法的責任を問われないと、Sunの広報担当ラス・カストロノヴォ氏は語る。

 OpenOfficeには、Sunが1999年に独Star Divisionを買収した際に取得した技術を基盤としたワープロソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトが含まれる。Sunは2000年にこのスイートのコードをオープンソースライセンスの下で公開した。

 この合意は、多数のOpenOfficeユーザーにとって事実上Microsoftから身を守るものとなるが、新規のユーザーは訴訟の対象になる可能性があると、この合意に詳しいKelley Drye and Warrenの独占禁止問題責任者リチャード・ドノバン氏は指摘する。「これからは、『あなたがまだOpenOfficeを配布しているのなら、Microsoftはあなたを追及する権利を持っている』という通告を受けるわけだ」

 SunがMicrosoftに対し、4月1日以降にOpenOfficeに関する損害賠償を請求する権利を認めたということは、同プロジェクトに対するSunの支持が弱まっていることの表れかもしれないとドノバン氏。この条項への合意は、「Sunが企業戦略として、今後は積極的にOpenOfficeに取り組む気はないと決定した場合にのみ意味を持つ」と同氏は指摘する。

 Sunのカストロノヴォ氏は、ドノバン氏の見方に異を唱え、SunのOpenOfficeに対する支持は「これまでと変わらない」と主張、さらにMicrosoftには以前からOpenOfficeユーザーを訴える権利があったと言い添えた。「この権利は以前からあったものだ。その点では何も前と変わっていない。オープンソースソフトは通常、保証や賠償責任保証なしで提供されるものだ。OpenOfficeもその例に漏れない」

 OpenOffice開発者はこの条項の「専門用語に満ちた」文言にやや混乱していると、CollabNetの上級コミュニティー開発マネジャーで、OpenOfficeに取り組む、ルイス・スアレス−ポッツ氏は語る。しかし、SunのOpenOfficeへのサポートのレベルは4月の和解発表後も変わっていないとも同氏は言う。「この特別な(SunとMicrosoftの)親しさが、われわれの取り組みに影響するとは思っていない」

 だが、オープンソース支持者の1人はこの条項に悩んでいる。

 「不吉だ。この条項は、MicrosoftがOpenOfficeのエンドユーザーを特許侵害で訴える権利を保持しているという意味だ。そしてSunは、StarOfficeに免責を与えることで自分の身を守っている」とGroklaw.netサイトの編集者パメラ・ジョーンズ氏。同サイトはLinuxとオープンソースに関わる法的問題を取り上げている。

 「この一件は、Sunがこのような取引に同意した動機は何かという疑問を呼び起こすものだが、実際には、MicrosoftがSunとの特許問題の停戦協定に免責を設ける上で、何を重要だと考えていたのかに注目が集まっている」と同氏はメールによる取材に応えて語った。

 問題の条項は、SunがOpenOfficeプロジェクトと密な関係を持っているために必要だったのかもしれないとアナリストは指摘する。Sunの技術者はOpenOfficeの主要な貢献者であり、同社はこのプロジェクトに寄贈されたすべてのソフトの著作権を保持している。

 こうした緊密な関係のために、MicrosoftはSunとの合意によってOpenOfficeユーザーが保護されるかどうかを明確に規定する必要があると感じたのかもしれないとDirections on Microsoftのアナリスト、マット・ロゾフ氏は語る。「SunとMicrosoftがクロスライセンス契約を結んだからと言って、Sunにその免責をオープンソース組織に適用する権利があるわけではないということを、Microsoftははっきりさせたかったのだ」

 皮肉なことに、この条項が明るみに出たのは、ちょうどMicrosoftがOpenOffice開発コミュニティーにアプローチし始めたときだった。同社の独子会社は、来週独ベルリンで開かれるOpenOffice Conference 2004に出展する計画だ。

 MicrosoftはOffice 2003でXMLサポートを提供しているが、プロダクティビティアプリケーションの標準ファイルフォーマットを開発するOASIS主導の取り組みへの参加を断ったために、OpenOffice開発者から批判されてきた。

 同社はOpenOfficeについて学び、「オープン標準に関する重要な話題を論じ、話し合いの中で積極的な役割を演じる」ためにOpenOffice Conferenceに参加することにしたと、広報担当者のサンドラ・シュバン氏はメールの中で述べている。「製品を売るためにこのカンファレンスに出るのではない」

 同カンファレンスに出展するには500ユーロ(613ドル)の料金がかかる。昨年の開幕講演には300人が集まった。

 MicrosoftはSunとの合意の詳細に関するコメントを控えている。

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