会員の親睦を図るため名簿を発行しようと考えています。どんなことに気をつければよいですか?個人情報保護Q&A

» 2005年03月04日 07時00分 公開
[古本晴英,ITmedia]

 会員の親睦を図るために名簿を発行するということは、ある会員から取得した本人の情報を、ほかのすべての会員に提供することを意味しますので、個人情報の第三者提供(法23条)に該当します。したがって、いかに会員の親睦という正当な理由があろうと名簿を発行する事業者としては、名簿を発行、配布することについて、各会員から、「あらかじめ本人の同意」(法23条1項)を得る必要があります。

 同意が得られた会員について、名簿を作成、配布した場合、各会員には会員相互の親睦の目的以外にはその名簿を利用しないよう注意を呼びかけておくべきです。会員の親睦のために名簿を発行するという前提で、会員の同意を得ている以上、事業者には、会員に対して利用目的を守って利用させる義務が課せられているといえるからです。

 法施行前から発行している名簿の取扱いはどうなるでしょうか? 提供行為となる名簿の配布を、法律の施行後に行うのであれば、仮に法律の施行前に名簿を作成していようと、配布前にあらかじめ情報主体本人の同意を得なければなりません。ただし、法律の施行前に、本人の同意と同視しうる了解が得られているのであれば、法施行後に改めて同意を得る必要はありません(附則3条)。

古本晴英プロフィール

1998年弁護士登録。日弁連情報問題対策委員会委員。社団法人自由人権協会(JCLU)理事・事務局次長。民事、刑事の訴訟実務のかたわら、弁護士会の個人情報保護対策の実施や、国民生活センターの客員講師として個人情報保護法の講座を担当している。主要著書に「Q&A個人情報保護法」(三省堂、共著)、「個人情報管理・運用の実務」(新日本法規、共著)がある。

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