忘れちゃいけない「物理的安全措置」SECURITY SHOW 2005レポート

3月2日から4日にかけて行われた「SECURITY SHOW 2005」の会場では、物理的セキュリティをカバーする製品群が大きな存在感を示した。

» 2005年03月07日 23時14分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 4月1日に全面施行となる個人情報保護法に向けてまとめられた経済産業省のガイドラインでは、「組織的」「人的」「技術的」および「物理的」という4つの側面から安全措置、すなわちセキュリティ対策を取ることが求められている。

 3月2日から4日にかけて行われた「SECURITY SHOW 2005」の会場で大きな割合を占めたのは、このうち物理的セキュリティをカバーする製品群だ。

何気ないファイルの出し入れを制御

 たとえばオカムラは、携帯電話をロッカーに収納しない限りドアの開閉を行えないようにする入退室管理システム「携帯電話保管ボックス」を紹介した。ボックス内に携帯電話を格納し、さらにICカードや指紋などのバイオメトリクス認証を経てはじめて、機密エリアへの入室が可能になる仕組みだ。

携帯電話保管ボックス オカムラが紹介した携帯電話保管ボックス。最大46個の携帯電話を収納できる

 ソフトバンクBBでは、昨年発生した個人情報漏えい事件を受けて、セキュリティエリアに入る際には私物を一切持たせないようにする体制をとった。携帯電話保管ボックスは、その仕組みを強制的に実施するものといえる。

 「最近はカメラ付き携帯電話が増えたこともあって、端末の持ち込みを厳格に制限したいという声が上がっている」と同社は説明する。製品リリースは8月の予定という。

 またコクヨは、IDカードと暗証番号を用いて文書ファイルの持ち出しを制御、記録する「ファイリング・セキュリティ・キャビネット」を紹介した。「ファイルを持ち出したきりほったらかしにされたり、キャビネットが空いたままになるのはよくあることだが、それが個人情報流出のきっかけになりかねない」(同社)。

セキュリティ・キャビネット IDカードと暗証番号によって認証を行い、そのユーザーの権限に応じたファイルの閲覧、持ち出しが許される

 このキャビネットでは、IDカードと暗証番号という二重の認証を経ない限り文書を持ち出せないようにしてセキュリティを確保する。またファイルには用途や内容に応じて5段階のセキュリティレベルを設定でき、それをユーザーIDと紐付けて制御を行う。キャビネットにIDカードをかざすと、持ち出しが許可されたファイルボックスのみに明かりが点灯し、それ以外のファイルを持ち出すと警告が鳴る仕組みだ。ドアが開いたまま一定時間が経過してもブザーが鳴る。

 さらに、ファイルにRFIDタグを付けることで、いつ、どのユーザーがどのファイルを持ち出したかを把握できるようにし、万一事件が発生した際の原因追及を支援する。小型の構成から導入でき、後から拡張が可能なことなども特徴だ。価格は、IDカードは別にして、基本キャビネットが38万円から。3月末より販売を開始するという。

 さらに同社は、参考出展として、離席時にPCだけでなくキャビネットやデスクの鍵も施錠させる「IDセキュリティーシステム」や、電子データと紙の文書をまとめて一元的に管理するためのシステム「Relational Filing System」も紹介していた。

Relational Filing System 開発中の「Relational Filing System」。今は紙文書に2次元バーコードを貼り付けて制御する仕組みだが、将来的にはRFIDの組み合わせを計画中

 個人情報保護法と同時期にe-文書法も施行となるが、「IT化が進んでも、やはり紙の文書はなくならない。何かと出力する機会が増え、かえって紙文書が増えるケースも多い」(同社)。Relational Filing Systemは、どこにどういった文書が存在しているのかを紙とデジタルの双方にまたがって管理し、資産管理や棚卸、文書廃棄などの業務を支援するために開発が進められており、4月以降にリリースされる予定という。

目立つ「顔認証」と「監視カメラ」

 もう1つ、とにかく会場で目立ったのがネットワーク対応の監視カメラだ。ソニー、松下電器産業/松下電工、三菱電機、NECなど大手どころはもちろん、多くの中小のベンダーがIPネットワークに接続可能な監視カメラを紹介していた。それも、単に映像を流すだけでなく、動き(モーション)に感応したり、顔認証システムと組み合わせたり、あるいは服装や体型などと組み合わせたりと、さまざまな付加価値を加えたものが目立った。

 東芝もその1社だ。同社は、ゲートを通過する個人の顔を認証できるセキュリティーゲート「FacePassenger」を紹介した。カメラで撮影した顔の画像を、あらかじめ登録しておいたデータベースと照らし合わせ、入退室を制御するシステムだ。同社は他にも多くのネットワークカメラや、そのカメラで撮影した画像を保存、再生するためのデジタルビデオレコーダ「DR3016」「同2016」などを紹介した。

東芝の監視カメラ 東芝の展示でもそうだが、ネットワークカメラにデジタルビデオレコーダを組み合わせ、特定の日時の画像を再生する、という組み合わせが増えている

 「アベイラビリティの面などを考慮すると、用途によっては今後もアナログ式の監視カメラが利用されるだろう。ただしネットワークカメラには、ハブと1本の幹線だけでケーブル配線が済み、取り回しが楽な上に、モニターを一元化できるといったメリットがあるため、適材適所で併用が進むだろう」と同社は説明している。

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