拡張性と管理性を強化した「MIMEsweeper」新版、今後は規制準拠も視野に

クリアスウィフトは、ポリシーに基づいてスパムメールや不適切なメールをフィルタリングする「MIMEsweeper for SMTP 5.1」を発表した。

» 2005年04月06日 22時03分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 クリアスウィフトは4月6日、スパムメールや不適切な情報を含んだメールをフィルタリングするセキュリティソフトの新バージョン、「MIMEsweeper for SMTP 5.1」を発表した。

 MIMEsweeperは、これまで「MAILsweeper」の名称で呼ばれてきたコンテンツセキュリティソフト。企業が定めたポリシーにしたがって送受信する電子メールの内容をチェックし、最近急増しているスパムメールをブロックするほか、個人情報や不適切な語句を含んだメールのフィルタリングを行う。サードパーティ製のウイルス対策ソフトと連携し、メール経由のウイルス/ワームを検出することも可能だ。

 新バージョンでは、基本的な機能を引き継ぎながら、拡張性や管理性の向上を図った。

 具体的には、MIMEsweeperのポリシー設定を行う「PCS」(ポリシー管理サーバ)や、そのポリシーにしたがってメールの解析/配送を行う「ポリシーサーバ」(実質的には「処理サーバ」と言えるだろう)といった主要機能をコンポーネント化し、分散配置できるようにした。1つのシステムには最大4台のポリシーサーバを配置でき、処理の高速化が可能なほか、将来的なシステム拡張にも対応できるという。

 このとき、ポリシーの変更/更新があったとしても、ポリシーサーバごとに設定を行う必要はない。同じ管理インタフェース上から一括して設定変更を行えるため、管理負荷の軽減につながるという。

 管理性に関してはさらに、テンプレートポリシーを用いて用意に初期導入作業を行えるよう支援するウィザード機能や、ポリシー/各種設定のバックアップ機能を実装。また、組織の実態に応じて管理機能を細分化し、それぞれの職務や役割に応じて管理/監視を行えるようにした。

ポリシーテンプレート ポリシーテンプレートをベースに、適宜カスタマイズを加えることで導入が可能

 具体的には、システムの安定稼動を担うアドミニストレータはシステムの稼動状況に関する情報を、セキュリティ担当者はウイルスやスパムの検出状況を、また個人情報保護担当者は個人情報を含むメッセージの状況を把握し、それ以外の情報は参照させない、といった運用が可能だ。

管理画面 システム管理者用の管理画面では、メッセージ処理状況などを確認できる。管理業務を分離している場合、それ以外の情報は参照できない

 MIMEsweeper for SMTP 5.1は、日本語も含めた多言語に対応していることも特徴という。対応プラットフォームはWindows 2000/Windows Server 2003で、価格は50ライセンスあたり55万円。4月28日より販売が開始されるほか、評価版の無償ダウンロードも提供する。

法規制への準拠が課題に

 クリアスウィフトのマーケティングディレクターを務める宮本哲也氏によると、今のところ国内では、ウイルスやスパム対策以上に「電子メール経由で個人情報や機密情報が流出しないよう、情報漏えい対策を目的に導入するケースが多い」という。

 が、ところ変われば事情も異なってくる。「(メールセキュリティ導入の)要因は国によって異なる。日本では個人情報保護法への対応が高い関心を集めている。また、国際的に事業を行っている企業/組織は、国ごとに異なる法律や規制に準拠しながら、いかに1つのメール環境を維持するかという問題に直面している」(英ClearSwiftのグローバルオペレーション担当副社長、イアン・ボウルズ氏)。

ボウルズ氏 規制への準拠に関しても、これまでの経験を生かして顧客にアドバイスしていきたいと述べたボウルズ氏

 特に米国では、米企業改革法(SOX法)やグラム・リーチ・ブライリー法(GLB法)への準拠(コンプライアンス)という観点から、電子メールのアーカイブ/リトリーブ(検索や保管、提出)に対する需要が高まっているという。「米国のある銀行は、電子メールのアーカイブは行っていたが、定められた72時間という期限内に必要なメールを探し出し、提出することができなかったために罰金を支払うことになった」(ボウルズ氏)。

 ClearSwiftではすでに、いくつかのパートナー企業と組んで電子メールのアーカイブソリューションを提供している(関連記事)。今後はさらに、リトリーブといった側面に着目した独自のソリューションを提供していく計画という。

 また、「電子メールがどこから誰に送られ、さらにそれが誰に転送され、いつ社外に出たかという情報を把握し、メールのライフサイクル全体を監視する『トラック・アンド・トレース』機能の開発を進めており、次のメジャーバージョンアップに盛り込む予定だ」(同氏)。

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