ACミランも和菓子屋も「想い」への一心でデータ分析特集:データ経営でビジネスを制す(2/3 ページ)

» 2005年09月26日 00時35分 公開
[梅田正隆,ITmedia]

滋賀県の和菓子屋の場合

 コンピュータが弾き出した数値を、人間が補足してやることで最終予測とする。「もう経験と勘に頼っている時代じゃない」などと宣伝されているが、そうでもない。

 滋賀県にある老舗の和菓子屋のことを思い出した。江戸時代から続く銘菓を職人技で製造し、直販店で販売している会社だ。和菓子は手作りであり、製造プロセスをIT化しているわけではないが、なんとこの老舗では、販売データを基に分析ツールで需要予測を行い、余剰在庫と販売機会ロストの削減に成功していた。

 需要予測を取り入れた背景には、素材にこだわり、職人が丹精こめてつくった菓子を、無駄にしたくないという想いがあった。主力の和菓子は生菓子であり、生菓子は足が速くて売れ残ったら処分するしかない。

 反面、品切れにしてしまうと、せっかく足を運んでくれた顧客に申し訳ない。そこで需要を予測するという涙ぐましい努力をするにいたったのである。

 まず、本社側で需要予測を行い、次の日の予測を夕刻までに各店舗に伝達する。各店舗では店長が、立地や天候、地域の特性(行事や風習など)を考慮し、予測値を補正して本社に返信し、翌日の生産量が決まり仕込みに入る仕組みになっている。店舗ごとに外的変動要因が異なっいるため、店長の判断が予測精度を高めるために欠かせない。予測精度は年々、高まっているそうだ。

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