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» 2005年11月09日 17時45分 UPDATE

新たなロボット工学3原則はコミュニケーションありき (1/2)

NECのパーソナル・ロボット「PaPeRo」は、これまでロボット開発がとらわれていたロボット工学3原則から脱却し、コミュニケーションを通じて時間や空間を共有するというコンセプトを基に開発が続けられている。

[早川みどり,ITmedia]

 NECが1997年から開発中のパーソナル・ロボット、「PaPeRo」(パペロ)。名前の由来は、パートナー型パーソナル・ロボット(Partner type Personal Robot)の、各単語の頭2文字を取ったものだ。現在のPaPeRoはその前身となったR100から数えて4代目にあたる。また、PaPeRo2005から用途やターゲットをセグメント化した「チャイルドケアロボットPaPeRo」「パペじろう」が存在する。

2005_02.jpg 小さくてかわいらしい姿のパペロ。カラー・バリエーションも多彩だ。足は車輪だが、ダンスも踊れる

 パペロは、身長38.5センチ、体重5キロと、ロボットという言葉から受ける一般的な印象からすると小さなサイズとなっている。これは、開発当初から家庭で利用するロボットを志向していたためで、日本の家屋でも邪魔にならず、また、持ち運びのしやすいサイズを検討した結果だ。パペロの足は車輪タイプで、階段を登ったりできない。だから、5キロという重さは重要なポイントとなるのだ。電源はリチウムイオン電池を使用し、約3時間の充電で、3時間程度の連続稼働が可能だ。

p19.jpg 簡単に抱き上げられる大きさと重さ、部屋にあっても邪魔にならないサイズに注目。ハードウェアとしては、CPUがPentium M 1.6GHz、メモリ512Mバイト、HDDは40Gバイトを搭載している

 パペロの機能は、インターネット経由で入手したニュースや天気予報の読み上げ、伝言メモ、テレビのリモコン操作などのほか、占いや健康チェック、さらにはデートに最適な日の相談といった補助的な機能も備える。そのほか、ダンスやクイズといったエンターテインメントの要素を持つ機能も用意されている。

 そして、それらの機能を支えているのが、高度な音声認識、画像認識、動画認識能力といった技術だ。音声認識では、複数のマイクを備えたことで音が到達する時間差から音源方向を検出する仕組みや、ロボットが発話中でも音声認識が行えるなど、対話性能を向上させている。同様に画像認識も、OCR機能を搭載したことで、手書き文字も認識することが可能となった。

 画像認識で最も重要なのが、人の顔をどう認識するかである。カメラに写った映像を分析し、そこから人間の姿を判断し、それが誰なのかデータベースから識別することはすでに実現していた。しかし、認識のためにはある程度の光源や距離を必要としていたため、ユーザーとの距離によっては認識できないこともあった。離れていれば、身体の動きを検知してそれが何か判別可能な距離まで近づくことを可能にしたのは動画認識能力だ。

 また、命令を待っているだけではなく、自分から人間に話しかけたり、勝手に歌い出したり、電池残量が少なくなると充電に向かうなど、自律的な行動制御を実現している。

 さらに、接する相手の対応から自身の口調や声質、動き方を変化させる機能も特徴として挙げることができる。数種類のキャラクター設定が用意されており、前述したユーザーの反応による自律変化と合わせることで、ダンスを褒めてあげるとダンス好きになるなど、まるで感情があるかのように振る舞うのだ。

 デザインとカラー・バリエーションにもこだわりを見せる。ソニーのAIBOのようなペット型ではなく、人間の子どもを連想させる姿となっているほか、「機械」という冷たさを感じさせないようにポップなボディカラーとなっている。PaPeRoの開発にあたっては、最初にテーマ曲を用意し、キャラクターの設定やその行動パターンなどインタラクションデザインの方向付けを行ったという。音楽を用いたのは、テンポやリズムあるいはメロディや音色など、理論的な構成でさまざまなデザイン要素に展開しやすいからだ。

 パペロに実装されている要素技術のうち、幾つかは既に製品化されている。例えば、画像認識技術は、顔検出/顔照合を可能とするソフトウェア開発キット「NeoFace」として提供されているほか、パペロなどの開発で培ったノウハウは、音声認識や顔認識などの基本的な機能モジュールも含めたソフトウェアプラットフォーム「RoboStudio」として販売されている。

 パペロの機能をペースに、子どもとのコミュニケーションに重点を置いたのが「チャイルドケアロボットPaPeRo」。こちらは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「次世代ロボット実用化プロジェクト」に採択されたことで、「愛・地球博」の会場を実フィールドとする実証実験が行われた。音声認識と顔認識の向上、そして携帯電話との連携が図られている。

チャイルドケアロボットPaPeRo 子守りタイプ「チャイルドケアロボットPaPeRo」。可動部が少ないため、子どもが扱っても挟み込みなどの事故の心配がない

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