IT支出の最優先項目は相変わらずセキュリティ――Goldman Sachsの調査結果

Goldman SachsがIT幹部100人を対象として実施した最近の調査によると、2006年のIT投資はわずかに減少するが、セキュリティは依然として最大の関心事であることが明らかになった。(IDG)

» 2005年11月21日 12時13分 公開
[IDG Japan]
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 Goldman SachsがIT幹部100人を対象として実施した最近の調査によると、世界経済の状況に不安を抱く企業が増えているため、2006年にはIT投資がわずかに減少する見込みだ。しかしセキュリティソフトウェアおよびエンタープライズITシステムのアップグレードは、依然として最大の関心事であるようだ。

 11月18日に公表された調査結果によると、「2006年のIT予算の削減を検討している」と答えたのは、調査対象のIT幹部の40%だった。その背景には、原油価格の高騰や米国での破壊的なハリケーンなどのマクロ経済的要因に対する懸念がある。一方、過半数(52%)のIT幹部は、「2006年のIT支出は2005年と比べて変わらない」と答えている。

 Goldmanの調査パネル(回答者グループ)に含まれるIT幹部の間では、以前からセキュリティソフトウェアを重視する傾向が強く、今回の調査でもその傾向は変わらなかった。調査結果によると、ウイルス対策製品への支出はようやく一段落したが、CIO(最高情報責任者)たちは今後も、アイデンティティ管理やコンプライアンス(法令順守)などの分野でセキュリティの強化に注力する考えだ。

 セキュリティ以外の分野で優先度が高いエンタープライズソフトウェアとしては、ERP(Enterprise Resource Planning)ソフトウェアやCRM(カスタマーリレーションシップ管理)ソフトウェアなどがあり、CIOたちはこれらの2つのカテゴリーを最上位の優先度に格上げした。Goldmanが今年4月にパネルにアンケート調査を行ったときは、ERPとCRMソフトウェアの優先度は中位だった。

 最も多くの回答者がエンタープライズソフトウェアベンダーとして名前を挙げたのはVMwareとSAPで、回答者の企業のIT予算の投入先に占める両社の比率が増加しつつある。今年、特に注目されているのが仮想化技術で、IntelとAdvanced Micro Devicesは仮想化ソフトウェアのパフォーマンスを改善するチップの開発を進めていることが背景にある。一方、NovellとCAは、回答企業のIT予算に占める比率が低下している。

 新しいソフトウェアを運用するためのハードウェアの選択に関しては、IT幹部はMicrosoftのWindows OSを搭載したサーバをトップに挙げており、その比率は4月の調査時点よりも高まっている。今回の調査では、UNIXサーバの人気も上昇しているが、その優先度は中位にとどまっている。

 DellとIBMは、回答企業のIT予算に占める割合が高まっている。Goldmanによると、Dellの場合は、過去2四半期の好調な業績を背景に強気の値引き作戦を実施したことが、回答企業の間での同社の人気上昇につながったようだ。Hewlett-Packard(HP)は回答企業のIT予算の獲得シェアの比率をダウンさせたが、Goldmanでは、今後1年間で同社のシェアが改善するものと予想している。

 また、回答企業のIT予算のうちのPCの部分でもDellがシェアを拡大しているのに対し、HPはシェアを落としている。Goldmanは、Dellのシェア低下の理由として、市場環境が一層厳しくなったことを挙げている。Lenovo Groupは回答企業の間でのシェアの増減は見られず、同社がIBMのPC事業部の買収を完了した直後に実施された調査と比べると状況が改善した。

 アウトソーシングに関する質問では、データセンターやデスクトップの管理を社外に委託する割合を増やしたいと答えたのは24%だった。Goldmanによると、IT幹部らが経済状況に懸念を抱いているため、これらの業務をアウトソーシングすることによってコストを削減するという手法が今後さらに一般化する見込みだとしている。

 Goldmanの調査回答者の53%は、CIOという肩書きを持っている。ITまたはIS担当副社長という肩書きは22%で、MISあるいはIT担当ディレクターは15%。回答者の82%の企業は年商5億ドル以上で、全世界で1万人以上の従業員を抱える企業の回答者は52%となっている。

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