金銭狙いのピンポイント型が2005年の特徴――トレンドマイクロがウイルス動向を総括

ウイルスの目的が自己顕示欲から、金銭や情報詐取の手段に変化した。トレンドマイクロは、2005年のウイルス動向をこう総括している。

» 2005年12月21日 19時59分 公開
[ITmedia]

 トレンドマイクロは12月21日、2005年のウイルス動向を総括するレポートを発表した。それによると、2005年はウイルスの性格が変化し、目的がウイルス作者の自己顕示欲から、金銭や情報詐取の手段に変化した年と総括している。

 2004年に全世界で感染を広げた「WORM_NETSKY」のように1種類のウイルスが大流行して目立つようなことはなく、標的に対してピンポイントで攻撃を仕掛け、パスワードなどを不正に取得し悪用することを目的とした不正プログラムが増加した。このような傾向は今後も続き、狙われた際の被害は金銭の詐取など直接的で甚大なものと予想している。

 同社が2005年のトピックとして1番に挙げているのが、この特定のターゲットを狙ったピンポイントの攻撃。特定の企業や官庁を名乗る日本語のウイルスメールや「TSPY_BANCOS」など、日本のオンライン銀行のサイトを狙った不正プログラムが2005年は数多く発見されたという。また、日本語で巧妙に用意されたメールや偽Webサイトを使用したフィッシング詐欺も多数報告された。

 スパイウェアやボットも2005年のトピックとして挙げている。スパイウェアについては、4月に施行された個人情報保護法が話題を呼んだことから、個人ユーザーも個人情報について高い意識を持ち、スパイウェアや悪質なWebサイトなどコンピュータから情報を盗み取る活動に警戒するようになったという。また、日本製P2Pファイル共有ソフト「Winny」を悪用して感染を広げる「WORM_ANTINNY」の亜種も多く見つかり、ユーザーのプライバシーを侵害する活動が注目を集めた。

 ボットについては、既に亜種が1万種を超えており、同社の年間被害件数の上位に「WORM_RBOT」「WORM_SDBOT」「WORM_AGOBOT」がランクイン。2005年はボットに対する注意が広く喚起されたものの、感染しているユーザーに自覚症状がないため、放置されたままになっているケースも多いと考えられる、としている。

 なお、2005年1月1日〜12月15日のウイルス感染被害(速報)のトップ10は下記の通り。

順位 ウイルス名 ウイルスの種類 被害件数
1位 WORM_RBO ワーム型 1180件
2位 JAVA_BYTEVER その他 1046件
3位 TROJ_AGENT トロイの木馬型 915件
4位 WORM_SDBOT ワーム型 827件
5位 TROJ_SMALL トロイの木馬方 803件
6位 SPYW_GATOR スパイウェア 705件
7位 WORM_NETSKY ワーム型 629件
8位 WORM_AGOBOT ワーム型 532件
9位 TROJ_ISTBAR トロイの木馬型 382件
10位 VBS_REDLO FVBScript型 372件

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ