BIOSからUEFIへ――ファームウェアの大革新を目指すPC業界(1/2 ページ)

Intel Macがいち早く採用したことで注目を浴びているEFI。その標準仕様であるUEFIへの移行が徐々に始まっている。2007年にWindows Vistaと64ビットハードウェアが普及すれば、BIOSからの移行は本格化するだろう。

» 2006年02月01日 19時58分 公開
[John G. Spooner,eWEEK]
eWEEK

 オリジナルのIBM PCとその互換機の時代に起源を持つPCファームウェアは、裏方的な役割を果たすソフトウェアコードの集まりだが、今新たな進化を遂げようとしている。

 PC業界はUnited Extensible Firmware Interfaceに移行し始めており、専門家は、この動きがより安定した管理しやすいデスクトップやノートPCの登場を促し、ITスタッフの苦労を減らすことにつながると予測している。「UEFI」と呼ばれるこのインタフェースは、PCハードウェアを制御するソフトであるファームウェアがOSとやり取りするための標準的な方法を提供する。この新しいインタフェースにより、OSのロードやプリブートアプリケーションの実行が標準的な方法で行われる。

 これらのオペレーションの標準化は、システムの安定性に影響するソフトのコンフリクトを削減するとともに、新しいタイプの管理ソフトやセキュリティソフトの登場に道を開き、ひいては企業IT部門の負担を軽減するだろう、とUEFIの推進派は話している。

 「これはBIOSにとってこの25年間で最大の出来事だ」とDellのエンタープライズBIOS部門のマネジャー、ディック・ホルムバーグ氏は語る。「コンピューティング業界の中でも明らかに注目度が低い分野における一大変革だ」

 実際、PCファームウェアは、新しいプロセッサやOSが登場するときのように鳴り物入りで宣伝されることはない。

 現在BIOSソフトが行っている処理の多くを代替するUEFIの登場は、PC業界がその誕生以来初めて、PCファームウェアの開発方法を見直していることを示している。

 「UEFIは、初めは少しずつ採用されていくだろう。そのペースは非常にゆっくりしたものになるだろうから、UEFIは当初は注目されないだろう」とホルムバーグ氏は見る。

 だがUEFIは、今年後半は対応マシンがちらほら登場する程度だが、2007年には新仕様に基づくファームウェア(UEFI 2.0仕様がまもなくリリースされる)が新しいPCに本格的に搭載され、採用が加速する見通しだ。新仕様は、Intel、AMD、Microsoft、DellなどのPCメーカー、BIOSメーカー数社が後押しする業界団体United EFI Forumで策定される。新仕様はIntelのExtensible Firmware Interface 1.1仕様をベースにしたものだ。

 「われわれは、移行作業は今年夏に開始されるケースが大半を占めるだろうと考えている」とUnited EFI Forumに加盟するPhoenix Technologiesの製品マーケティング担当副社長ロバート・ワイズ氏は語る。同社はほとんどの顧客が今後2〜3年の間にUEFIを採用すると見ている。

 Microsoftが投入するWindows Vistaがその動きをけん引する見込みだ。VistaはEFIベースとBIOSベースの両方のファームウェアに対応する、とMicrosoftは述べている。

 移行当初は、幾つかの異なるファームウェアを採用したPCが併存する見通しだ。BIOSベースのPC、EFI 1.1ベースのPC(BIOS互換性モジュールを使ってWindows XPやLinuxを動作させることができる)、UEFI 2.0ベースのPCだ。だが長期的には、UEFI 2.0仕様が選択されることになりそうだ。

 UEFI 2.0ファームウェアは、EFI対応の64ビットOSしかブートできないとされているため、このファームウェアへの移行は、Windows Vistaと64ビットハードウェアが普及する2007年までは本格化しないだろうと、Intelのソフトウェアアンドソリューション部門のプラットフォームソフトインフラ担当マネジャー、マイク・リッチモンド氏は語る。

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