オフショア開発が失敗する要因Magi's View(1/2 ページ)

長期的なオフショア開発プロジェクトがうまくいっている例があるからには、オフショア開発に伴う難題を克服するための秘訣も当然あるはずだ。少なくとも、プロジェクトをオフショア開発で進めたということ自体がそのまま失敗の理由になるわけではない。

» 2006年02月10日 11時46分 公開
[Tana-George,IT Manager's Journal]
SourceForge.JP Magazine

 オフショア開発の失敗についての統計データは、議論の的になることが多いため、オフショア開発のプロジェクトとオンショア開発のプロジェクトとで失敗率を比較するのは難しい。確かなのは、オフショア開発が時代のすう勢として増えてきているということだ。長期的なオフショア開発プロジェクトがうまくいっている例があるからには、オフショア開発に伴う難題を克服するための秘訣も当然あるはずだ。

 Ventoroが2005年に出した、オフショア開発についてのリポートによると、自社のオフショア開発戦略が成功だったという回答は45%だったのに対し、失敗だったという回答は36%だった。また、Gartnerのリポートでは次のように述べられている。「2007年末までに、コスト削減を主たる目的として顧客サービスおよびサポートセンターをアウトソーシングした企業のうち、80%は失敗に至るであろう」。

 オフショア開発が失敗する原因について話を始める前に、成功と失敗を測るための基準を明確にしておく必要がある。最も、各企業で使用する言葉の意味合いは、その会社自身で定義することが必要だ。例えば、プロジェクトが成功かどうかを、コスト削減だけに基づいて判断するのか、それとも、品質や顧客満足も判断材料に加えるか、といったことだ。

 オフショア開発プロジェクトにせよ国内のプロジェクトにせよ、同じような理由で成功したり失敗したりすることがある。つまり、プロジェクトをオフショア開発で進めたということ自体がそのまま失敗の理由になるわけではないということだ。さらに、企業がグローバルな視野やスタンスを取る度合いが高まるにつれて、かつては異質ととらえていた行動パターンを受け入れるのは当然の流れである。したがって、社内での開発とオフショア開発の違いは小さくなっていくはずである。

物理的距離と文化の違い

 国内のプロジェクトではめったにないが、オフショア開発では避けられない要因が2つある。一つは物理的距離、もう一つは文化の違いだ。文化の違いは、企業がオフショア開発を始める前に考慮しておくべきこととしてGartnerが挙げている5つのリスク領域の1つである。残りの4つは、コスト削減の認識不足、生産性の低下、責任感やコミュニケーションの欠如、オフショア開発に対する知識や準備の不足だ。

 物理的な距離は、やっかいな時差や、オンサイトへの訪問を計画するのが難しいといった面の要因である。だが、オフショア開発のパートナーとの時差が大きい場合でも、両者がある程度妥協すれば、1日数時間は勤務時間が重なるようにできることがある。数時間といえば、国内のプロジェクトでチームのメンバーとコミュニケーションをはかる平均的な時間より長い時間である。

 オフショア開発のパートナーとリアルタイムでコミュニケーションを図ることが難しい場合には、確かに問題が生じる。この要因は、コミュニケーション・オーバーヘッドと呼ばれることが多い。解決策としては、きちんとした段取りを定めておくこと、直接やり取りする形の会議はできるだけ少なくすること、そうした会議は両者が参加できる時間にスケジューリングすることが挙げられる。

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