ラリタン、“スイッチレス”のデジタルKVMスイッチを発売

日本ラリタン・コンピュータは2月15日、デジタルKVMスイッチ「Dominion KX101」の販売を開始した。小型サイズで、小規模サイト内のサーバの制御を行うのに適している。

» 2006年02月15日 21時24分 公開
[堀見誠司,ITmedia]

 KVMスイッチの専業メーカー、日本ラリタン・コンピュータは2月15日、デジタルKVMスイッチ「Dominion KX101」の販売を開始した。

 KVMスイッチとは、複数のコンピュータがある場合に、それぞれに必要となるキーボード(K)、ビデオモニタ(V)、マウス(M)を、切り替えて使うことで最小限にするための接続機器。管理者が多数のサーバを制御する場合などに利用し、設置スペースやコストが節約できる。

 Dominion KX101は、近年業務利用で需要の高まっているKVMのリモート制御を可能にする手のひらサイズの小型デジタルKVMスイッチ。デジタルKVMスイッチは、IPアドレスを設定し、TCPネットワーク上にKVMの信号を乗せることで(ソリューションとして「KVM over IP」と呼ばれる)、管理者が不在の小規模拠点のサーバやルータなどの機器をリモートから一元管理できる点が特徴である。通信にはTCPプロトコルを利用し、サブネット内のKX101をブラウズする際にのみUDPを使う。

KX101 LANインタフェースは10/100BASE-T。PoE(Power over Ethernet)による電源供給もできる

 ラリタンのデジタルKVMスイッチでは、アクセスしたスイッチからアプレットをダウンロードしたWebブラウザが管理コンソールとなり、専用ソフトは不要。ハードウェアによるコントロールのため、リモートコントロールソフトなどと比べ、管理対象のサーバOSや状態に左右されず、BIOSレベルまでのリモートアクセスが可能だ。リモートコンソールは、Windows、Linux、Solarisのマルチプラットフォームに対応する。

 Dominion KX101の場合、1ポート、1ユーザーのピア・ツー・ピア接続型のKVMで、1台のコンピュータに対して基本的に1人が接続して操作を行う仕様のため、厳密な意味での「スイッチ(切り替え機器)」ではない。用途としては、「既存のKVMスイッチには共有できるユーザー数に制限があり、常時ログインして制御できないと困るサーバがあるようなケース、管理するサーバ側が支店ごとなどに分散しているケース、イベント展示などでサーバが移動するケースなどが考えられる」(同社 営業本部戦略マーケティング部部長の栗田正人氏)。

 セキュリティ面の機能も配慮されている。ユーザー認証は、ユーザーID、パスワード、プライベートキーを利用して行う。LDAPディレクトリやRADIUSといった外部の認証サーバを使うこともできる。また、KVMの通信データは128ビットのSSLで暗号化される。別売の管理用アプライアンス「CommandCenter」を併用すれば、1度の認証で複数のKX101やラリタンのKVMスイッチの一元管理も可能だ。

 KX101の価格はオープンプライス(参考価格12万円)となる。

 米国ではインターネット経由でKVMを制御できることが評価されているが、国内ではセキュリティを懸念するユーザーの声もあり、ラリタンでは、VPNでネットワークのセグメントを分けるなどしてデジタルKVMスイッチ専用の管理ネットワークを構築することを推奨している。栗田氏は、「KVMのみのマネージメントエリアネットワークを用意し、コンピュータと人のいる場所を完全に切り離すことが情報漏えい対策にもなる」としている。

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