日本だけが世界に逆行――フォレスターのIT予算調査

米調査会社のForester Researchが2006年の日本企業のIT予算動向に関する調査結果を発表した。諸外国が強気の見通しているのに対し、日本だけがIT予算削減の意向を示していることが明らかになった。また、SOA、SOXにはそれぞれ約4割の企業が対応に意欲を見せている。

» 2006年03月13日 13時56分 公開
[ITmedia]

 米調査会社のForester Researchが2006年の日本企業のIT予算動向に関する調査結果を発表した。日本企業のおよそ4社に1社(27%)が、前年と比べてIT予算を削減すると回答した。一方で、「増加する」と答えた企業の割合はこれを下回った。世界他地域のIT投資は増加傾向にあり、日本は逆行していることが明らかになった。

 日本企業は、新規技術への投資費用を捻出するために、回答企業の58%がシステムの合理化を図る意向を示した。一方で、47%の企業がハードウェア、ネットワーク、アプリケーション管理のアウトソーシングに意欲的だった。また、SOA、SOXには、それぞれ約4割の企業が対応に意欲を見せている。

65%が厳しい1年を予測

2006年のIT予算景況感(国際比較)

 日本企業のおよそ3社に2社(65%)が、1年間の厳しい見通しを示している(表1参照)。それを反映する形で、回答した日本企業のうち、23%が前年比で増加、27%が減少と回答している。

 アジア太平洋地域では増加が47%、減少が16%、北米地域では増加が42%、減少が16%、欧州地域では増加が29%、減少が23%となっており、日本だけが逆行して減少している。

2006年のIT予算傾向(回答企業割合<国際比較>)

 全体のIT予算のうち、新規技術投資に充てる予算の割合は、前回調査(2005年7月)から3ポイント上昇して18%だった。

IT課題で優先度高いのはセキュリティ

 また、2006年に取り組む優先順位の高い技術テーマを聞いたところ、回答企業の割合が高い順に、「セキュリティ環境の更新」(61%)、「既存のアプリケーション・システムの切り替えもしくは更新」(51%)、「ITインフラの統合」(50%)と回答した。「SOAなどITアーキテクチャの再設計、再構築」は40%、「SOXなどコーポレートガバナンス対応」は34%との回答だった(表3参照)。

2006年「優先順位が高い」IT技術(回答企業の割合と回答割合の順)

インフラ用ハードと関連ソフトの支出増加

 日本企業は引き続き、インフラ整備に投資意向を示していることも分かった。特にサーバー、ネットワーク機器、PC・ワークステーションの支出を前年比で増加する企業の割合は、それぞれ46%、44%、35%となった。関連して、ハードウェアを運用、管理するプラットフォームソフトウェアの支出を前年比で増加させる回答企業の割合は、35%と高い水準だった。

 結果として、39%の回答企業が前年比で予算増額を予定しているアプリケーション統合を除き、サービスへの予算配分は減額傾向にあることが判明したという。

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