「変革の時代」におけるITプラットフォームを説くインテル

先日行われた「Oracle OpenWorld Tokyo 2006」でインテルの吉田氏は、ビジネス用途向けのプラットフォームについて言及。「高度なセキュリティ」「効率的なシステム管理」「システムパフォーマンスの向上」がポイントであると述べた。

» 2006年03月17日 04時36分 公開
[ITmedia]

 「ビジネス活動の基盤に進化を遂げるITプラットフォーム技術を取り込んで欲しい」──3月1日から3日にかけて開催された「Oracle OpenWorld Tokyo 2006」のジェネラルセッションで、インテルの代表取締役共同社長、吉田和正氏はこう語り、プロセッサからプラットフォームへシフトしつつあるインテルがエンタープライズ市場においてどのようなIT基盤を提供しようとしているのか展望を述べた。

吉田氏 「確かな業務の基盤を作るインテルとオラクルの協業活動に期待して欲しい」と吉田氏

 「ITへの投資意欲は5年ぶりの高水準にある」と話す吉田氏。そうした状況下において、半導体はより高性能で低消費電力なものを、それに各種コンポーネントや仮想化技術に代表される関連テクノロジーを付加価値として付け、プラットフォームとして提供することがインテルに求められていると話す。

 すでにプラットフォーム戦略を推進しているインテルでは、デジタルエンターテイメント向けPCプラットフォーム「Viivテクノロジ」、モバイル向けプラットフォーム「Centrinoモバイル・テクノロジ」などによってこうしたニーズに応えようとしている。そして、ビジネス用途向けのプラットフォームには、「高度なセキュリティ」「効率的なシステム管理」「システムパフォーマンスの向上」といった課題に対し、そうした機能を初めからクライアントPCの中に組み込んだ「インテル プロフェッショナル・ビジネス・プラットフォーム」を提供することで、運用コストの削減を図るとともに、ビジネスの成長を支援することができると吉田氏は胸を張る。

 その上で、日本の強みは、世界でも有数のブロードバンド環境が構築されていること、IPv6など世界をリードしている技術、さらに製造技術やデザインであるとし、今後は選択と集中を考慮しつつ、アウトソースとイノベーションを行う「変革の時代」なのだと話す。

 さらに、「日本的なIT」のあり方について、その競争力の源泉は、人の和による信頼関係の上に成り立つものであり、「ものづくり」という言葉に象徴される高い品質であると吉田氏。インテルが提供するITプラットフォーム技術を基盤に取り入れながらも、この部分を忘れてはならないとした。

大規模Itanium2サーバによるコンソリデーションの実現

 展示会場内のブースに目を移すと、さまざまな企業による展示が行われていたが、このうち日本ヒューレット・パッカードでは、特定テーマごとにワンポイントの解説を行なうセッションを開催していた。

多くの人が足を止めていた日本HPのブース

 「統合IT基盤を実現するHP Superdome」と題するセッションでは、同社のハイエンドSMPサーバ「Superdome」を取り上げ、サーバ・コンソリデーションの実現を支援する機能として新たに追加された仮想化機能について解説した。

 Superdomeは最大で128CPUを64Gバイト/sという帯域を持つクロスバーで接続し、最大1Tバイトのメモリを搭載可能な、業界でも最大規模のサーバである。OSは、HP-UX、Linux、Windowsの3種をサポートする。大規模サーバならではの高度なRAS(信頼性、可用性、保守性)を備えるSuperdomeでは、ミッション・クリティカル・アプリケーションの実行環境として利用できることに加え、分散した複数のサーバを集約することで運用コストの低減を実現する「サーバ・コンソリデーション」のためのプラットフォームとしても注目される。

 サーバ・コンソリデーションを効果的に実現するには、1台のサーバ筐体内に複数のサーバ・イメージを作り出すための仮想化技術が求められる。仮想サーバの制御を行なう「HP Systems Insight Manager」には、仮想サーバの配置計画立案をサポートする「HP Integrity Essentials Capacity Advisor」と、仮想サーバの構成作業を支援する「HP Integrity Essentials Virtualization Manager」が追加された。

 一方、Superdomeには、新たなパーティショニング機能として、「HP Integrity Virtual Machines」が追加されている。

 HP Integrity Virtual Machinesは、プロセッサ・リソースを5%単位で複数のOSに分割する「Sub-CPUパーティショニング技術」だ。従来から提供されていたハードウェア・パーティショニングと組み合わせることで、より柔軟な仮想サーバ環境を構築できる。ダイナミックなリソース割り当てにも対応し、負荷の変動に対応して割り当てを変更することで、リソースの利用効率を高めることができる。同技術は、現在および将来のすべてのHP INtegrityサーバでサポートされていることが表明されている。また、HP Integrity Virtual Machinesでは、IntegrityサーバがサポートするHP-UX、Linux、WindowsのすべてのOSがサポートされる予定だ。現在はHP-UXのみの対応だが、今年後半にはLinux/Windowsへの対応が実現する計画となっている。

 SuperdomeとHP Integrity Virtual Machinesを組み合わせることで、社内に分散するさまざまなサーバを1台に集約し、効率良く運用することが可能になるという。

 現在、サーバの仮想化技術が注目を集めているが、ハードウェア・パーティショニングをサポートするハイエンド・サーバにも仮想化環境が整ってきたことで、信頼性を重視するユーザーにとっても仮想サーバを実運用で活用できる環境ができてきたと言えるだろう。

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