しかし、ベンチャーキャピタルの後押しはあったにしても、米国の驚異的な経済発展を支えたのはIT分野のハイテク企業、情報通信企業であった。今回の「強い中堅企業のIT化シナリオ」という企画の主旨を逆説的にとらえれば、ITによって強い中堅・中小企業が誕生し、それが経済全体を牽引したということができる。
つまり米国においては、ITが経済そのものを拡大、発展させ、同時に小さな企業が強大な力を身に付け、さらにはリーディングインダストリーを形成する原動力になったのである。オールドエコノミーのIT化シナリオについてはこのシリーズの後半に触れることにするが、ここでは、ベンチャーがITによって成長し、米国にニューエコノミーを生み出したというストーリーが浮かび上がってくることを認識しておきたい。
この過程において、建設、鉄鋼、造船、不動産などのいわゆる構造不況業種、つまりオールドエコノミーとニューエコノミーの勢力図が大きく変化したことは否めない。だが、マクロ的に見ればITベンチャーが米国経済全体に大きな利益をもたらしたことは間違いない。
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