「使わなきゃ損」――中小企業庁の経営支援策強い中堅企業のIT化シナリオ(1/3 ページ)

中小企業庁は中小企業の課題解決力や業績拡大を後押しする支援策を数多く用意している。事業活動を向上するための法律に注目することで、ITと経営の両面での体質強化を図れるかもしれない。

» 2006年03月29日 08時00分 公開
[富永康信,ITmedia]

 オンラインムック強い中堅企業のIT化シナリオ

富永康信(ロビンソン)

 企業運営のあるべき姿を考える中で、中長期的な経営計画の立案は不可欠だ。しかし、中堅・中小企業においてはその多くが、会社の舵取りを社長本人の頭の中でのみ決定していたり、明文化した経営計画書を作成していなかったりするのが実状だ。

 そしてそれが、中堅・中小企業の経営改革を阻む大きな要素ともなっている。そのため、経営計画を明文化し、事業計画の理念を明確化することで、現状を見つめ直すことを国も強力に奨励している。その施策の1つに、チャレンジ意欲の旺盛な中堅・中小企業をサポートする制度として「中小企業新事業活動促進法」がある。

 中小企業新事業活動促進法とは、これまでの「中小企業経営革新支援法」「中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法」「新事業創出促進法」の3法を整理統合するとともに、施策体系を強化し、中小企業の新たな事業活動の促進を柱とする法律のこと。

 ここでは、中小企業の「創業」「経営革新」「新連携」の取り組みを支援し、事業活動基盤の充実と支援を規定している。パート1では、経営革新による支援策を中心に紹介し、パート2では新連携に触れてみたい。

 経営革新とは、「事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」(中小企業新事業促進法 第2条第6項)と定義されており、全業種を対象とし、単独の企業のみならず、任意のグループや組合などの連携体も含まれる。また、同法の適用を受けるためには、具体的な数値目標を含んだ経営改革計画の作成と、承認した都道府県の進捗状況の調査が行われる(図1)。

図1■「中小企業新事業活動促進法」の活用の流れ

 なお「新事業活動」とは、以下の4つの新たな取り組みをいう。

  1.  新商品の開発または生産(例:ティーバッグ製造業者が、地中に埋めると分解する環境に配慮した商品を開発する)
  2.  新役務の開発または提供(例:美容室が髪型シミュレーションを開発して、集客と売上拡大につなげる)
  3.  商品の新たな生産または販売方法の導入(例:食料品店が独自にメニューを開発し、その食材を家族向けのセットとして販売する)
  4.  役務の新たな提供の方法の導入と、そのほかの新たな事業活動(例;不動産管理会社が企業の空室の多い社員寮を借り上げ、高齢者向けの高級介護施設として賃貸する)
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