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» 2006年04月25日 17時26分 UPDATE

激変! 地方自治体の現実:SNSは地域活性化の起爆剤になるか? 地域SNS実証実験を考える (1/2)

ソーシャルネットワーキングサービスで地域を活性化しようという取り組みが注目を集めている。総務省の地域SNS実証実験として選ばれた東京都千代田区の地域SNS「ちょっピー」のケースから地域SNSの意義を考える。

[中村文雄,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「激変! 地方自治体の現実」のコンテンツです。関連する記事はこちらで一覧できます。


住民参画に地域SNSが寄与

 ブログに続いて、「mixi」に代表されるソーシャルネットワーキングサービス(以下SNS)が人気を集めている。総務省によれば2006年3月末時点におけるSNSの登録者数は716万人、ブログの登録者数は868万人であり、その数は今も増え続けている。

 さまざまな種類のSNSが開設されている中、一定の地域をテーマにした地域SNSも登場し、地域活性化の施策として注目されている。特に熊本県八代市の地域SNS「ごろっとやっちろ」は、市役所が提供していた掲示板を市役所職員が自ら開発したSNSのシステムに切り替えた結果、活発なコミュニケーションが行われるようになり、大きな注目を集めた。

 八代市のケースなどからSNSの機能に注目した総務省は、「ICTを活用した地域社会への住民参画のありかたに関する調査研究事業」として、地域SNSを活用する実験を2005年12月16日から2006年2月15日までの2カ月間行った。実験地区として選ばれたのは東京都千代田区と新潟県長岡市。東京都千代田区では千代田区の第3セクターである「財団法人まちみらい千代田」が地域SNS「ちょっピー」を、新潟県長岡市では「NPO法人ながおか生活情報交流ねっと」が地域SNS「おここなごーか」を運営することになった。

三浦氏 財団法人まちみらい千代田・企画情報リーダーの三浦博子氏。コミュニティーを活性化するため、積極的に発言やレスをつけたと振り返る

 今回の実証実験で、千代田区の地域SNS「ちょっピー」の運営を行った「まちみらい千代田」企画情報リーダーの三浦博子氏は次のように説明する。

 「当初100人のモニターが参加していた同SNSは、2カ月間で総計903人が登録し、設置されたコミュニティー数は125となった。千代田区の昼間区民は約85万人。これに対して住民は4万人と大きな格差がある。区役所と住民の連携はもちろん、住民と昼間区民との連携も重要であり、そのためのコミュニケーションツールとして地域SNSは有効だと思う」

“刃物男事件”にいち早く対応したコミュニティー「こども110番連絡会」

 今回の実証実験で用いられた、日記、コミュニティーなどの基本的要素は一般的なSNSと変わりない。地図上に情報を登録できるGISシステムが導入されたことと、運営主体のまちみらい千代田や区役所が公認としたコミュニティーが幾つか設置されたことが特徴である。また、地域SNSと同時に「個人認証サービス対応アンケート調査研究事業」が行われ、住基カードを利用したアンケート調査も実施された。

 実証実験2カ月間のトップページへのアクセス累計は11万5169件で、1日平均1888件。1日平均で見ていくと日記へのアクセス数は505、コミュニティーへのアクセス数は678、フォトアルバムのアクセス数は75であった。登録者数が多かったのは、45名が参加した千代田区の公認コミュニティー「千代田区の観光まちづくり」、42名が参加したまちみらい千代田の公認コミュニティー「災害時の地域SNSの活用方法について」などである。

 活動が目立ったのは、まちみらい千代田が設置した公認コミュニティー「地域サイト『千代田day’s』編集会議」。イベント「さくらプロジェクト」の企画・運営に関する活発な意見交換が行われた。当初は花見の名所である千鳥ヶ淵と神田の間をシャトルバスが走行することが決まっていたが、コミュニティーでの話し合いにより秋葉原への延伸が決められた。ライブカメラ設置という協力も得ることができ、いつもは土日に休む商店街の店もイベントに合わせて営業することを決定したという。

 三浦氏は、「ちょっピー」の中のコミュニティー「こども110番連絡会」というコミュニティーが機能したケースを紹介する。

 「実験期間中に千代田区内で人を刃物で斬りつけて逃亡した“刃物男事件”が発生したが、どのメディアよりも早く『ちょっピー』に情報が掲載され、『こども110番連絡会』というコミュニティーで対応策が素早く練られた。その結果、保護者や学生たちが協力して小学生を無事帰宅させることに成功した。地域では重要なトピックが必ずしも新聞などで報道されるわけではないが、そのようなとき『ちょっピー』のようなSNSは重要な役割を果たすことになる」

 今回の実証実験では災害時におけるSNSの活用も課題となっており、緊急時には画面の色を変えて緊急事態であることを知らせる仕様が組み込まれた。また、帰宅困難者避難訓練の際、「ちょっピー」に情報を掲載する実験も行われた。

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