「ITカオスからの脱却」の方策を示すHPHP WORLD Tokyo 2006(1/2 ページ)

日本HPは「HP WORLD Tokyo 2006」を開催。「ITカオスからの脱却」をテーマに最新のテクノロジーやソリューションを紹介した。初日の基調講演では、米HPがどうITカオスから脱却したのか、具体例を示した。

» 2006年06月01日 15時01分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

 「HP WORLD Tokyo 2006」では、メインテーマとして「ITカオスからの脱却」を、サブとして「5つの課題解決が、ビジネスを加速する」とうたっている。初日の基調講演では、米HPがどうITカオスから脱却したのか、具体例が紹介された。

小田晋吾氏 日本HPの小田晋吾社長

 基調講演の冒頭に挨拶を行なった日本ヒューレット・パッカードの小田晋吾社長は、HPの業績が日米ともに好調だという成果を報告した後、2006年を「カオスの時代」と位置付けた。これは、ユビキタスやRFID、SOAなど新しい技術が次々と登場すると同時に、コンプライアンスや経営可視化など、企業に新たな課題が突きつけられていることからだ。

 この認識を踏まえ、HPは“5つの課題”として、「事業継続性(Continuity)」「統合(Consolidation)」「管理(Control)」「法令順守(Compliance)」「連携(Collaboration)」の5つのテーマを掲げ、この「5C」の解決に取り組んでいくという全社方針を改めて示した。

HP自らの経験

 続いて登場した米HP ITインフラストラクチャー&オペレーションズ担当副社長のピート・カロルチャク氏は、同社で行なわれたIT統合の実例を分野ごとに整理して紹介した。

 同氏は「ITを統合すればコストが下がりシステムを簡略化できるが、それが目的ではない。本当の目的は、ビジネスを迅速に変化させることを可能にすることだ」と話し、IT統合が後ろ向きの施策ではなく、積極的な競争力強化のための方策だと説明した。

ピート・カロルチャク氏 米HP ITインフラストラクチャー&オペレーションズ担当副社長のピート・カロルチャク氏

 HPは、Compaqとの合併などによってITシステムが一気に複雑化するという状況を経験している。その複雑性を解消するための統合作業は現在も継続中で、2008年に完全統合を実現する計画だという。統合にあたっては「ポートフォリオ管理」「組織とワークフォース」「アプリケーションとインフラ」「データセンター」の4つが柱となっている。

 ポートフォリオ管理では、IT部門自体が手掛けるプロジェクトの数の削減が行なわれた。IT部門自体も予算枠が定められ、手掛けることができるプロジェクトの数の減少を余儀なくされたことも影響している。具体的には、以前は1200余りのプロジェクトが同時進行しており、その数の多さからプロジェクトに携わるITスタッフの数も多くはできなかった。しかし、発想を転換し、プロジェクトを厳選して、1つのプロジェクトにより多くのスタッフを参加させ、迅速化を図ることで、結果的により大きな成果を上げられるようにしたという。

 「2名のスタッフで10件のプロジェクトを遂行するより、10名のスタッフで2件のプロジェクトを処理する方が大きな成果が期待できる」(カロルチャック氏)

 プロジェクトの優先順位の決定は、IT部門ではなく経営陣の承認を必須とし、全社レベルの意志決定が反映されるようになった。この結果、手がけるプロジェクトの総数は500件に削減されたという。

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