コマンドラインが復活、MSアプリ管理はPowerShellが主軸に(1/2 ページ)

PowerShellのリリース候補(RC)により、管理者はシステム/アプリケーションの多様な管理タスクをコマンドラインで実行できるようになる。だがアプリケーション開発者は、自分のアプリケーションが簡単に管理できるようにするためにはPowerShellのエクステンションを作成する必要がある。

» 2006年06月06日 07時00分 公開
[Chris Alliegro,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 米Microsoftの次世代シェルスクリプトエンジン「PowerShell」(これまではコード名で「Monad」と呼ばれていた)の最初のリリース候補(RC)が2006年4月に公開された。管理者はPowerShellにより、システム/アプリケーションの多様な管理タスクをコマンドラインで実行できるほか、既存ツールでは書くのが難しいようなルーチン作業用のスクリプトを作成できる。だが、開発者が自分のアプリケーション向けにPowerShellのエクステンションを作成するまでは、そうしたアプリケーションを管理する際の同ツールの有用性は限定的なものとなる。

PowerShellは管理を合理化

 PowerShellの狙いは、コマンドラインあるいはスクリプトを介してWindowsシステムとアプリケーションを包括的に管理できるようにすることで、そうしたシステムやアプリケーションのGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)管理ツールを補完することだ。GUI管理ツールには多くの利点があるが(例えば、シンプルで直感的であり、UNIXやLinuxなどのプラットフォームの中軸となる難解なコマンドやスクリプティング言語を習得する必要がない点など)、大規模なコンピューティング環境の管理者の間ではあまり評判は良くない。そうした大規模なコンピューティング環境においては、十分にテストされたスクリプトを実行して、ルーチン管理やメンテナンスタスクを自動化するほうが効率的な場合が多い。

 これまでのWindows環境では、そうしたスクリプトの作成は容易ではない。お馴染みのWindowsコマンドシェル(cmd.exe)は機能が限られており、関連のスクリプティング言語(バッチ言語)も基本的なプログラミング機能(条件付きロジック、ループ、デバッギングなど)が限られているため、ある程度複雑なスクリプトの記述とテストは難しい。Windows Script Host(WSH)などの代替選択肢にも欠点がある。WSHは1998年に発表され、VBScriptとJScriptとの連携を念頭に設計されたスクリプト実行エンジンだが、WSHではコマンドライン機能は提供されず、VBScriptとJScriptも習得が難しく、使いづらい可能性がある。

 PowerShellはWindowsコマンドシェルよりも強力なコマンドライン環境であり、プロセスの検査やレジストリの処理など、一般的なWindows管理タスク向けの内蔵コマンドCmdlet(コマンドレット)の広範なセットを提供する。PowerShellはWindowsバッチ言語よりも高度なスクリプティング言語であると同時に、VBScriptとJScriptよりもハイレベルな言語であり、開発者ではない管理者にとって使い勝手が容易となるはずだ。PowerShellには、ksh、bash、cshなど、従来のUNIXシェルのユーザーにお馴染みの機能が含まれる。例えば、ユーザーはコマンドに分かりやすい名前(エイリアス)を割り当てたり、関数を定義したりできる。関数とは、ほかのコマンドやスクリプトから呼び出して、数学的計算など、一般的な操作を実行できる短いスクリプトだ。

 だが、PowerShellは1つ大きな点で従来のシェルとは異なる。従来のシェルでは、コマンドはそれぞれ独立したスタンドアロンの実行ファイルとして、テキストストリームを入力/出力する。コマンドライン操作を作成するには、管理者は1つのコマンドのテキスト出力を構文解析し(grepやawkなどのユーティリティを使う)、構文解析された出力を順次ほかのコマンドにパス(パイプ)しなければならない場合が多い。

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