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» 2006年06月08日 20時47分 公開

IBM RSDC Report:ベールを脱いだ「Jazz」プロジェクト、Rationalの進化と革新

フロリダ州オーランドで開催中の「IBM Rational Software Development Conference 2006」。2日目の基調講演では、Ecilipseの成功の鍵について語られたほか、次のRationalがどのような方向性を考えているのかが明らかにされた。

[西尾泰三,ITmedia]

 フロリダ州オーランドで開催中の「IBM Rational Software Development Conference 2006」。2日目の基調講演の冒頭、IBM Rational部門でマーケティングと戦略を担当するロジャー・オーバーグ副社長は、ヒットチャートで1曲だけヒットしてその後は鳴かず飛ばず、といったことと同様なケースがソフトウェア業界にもあてはまると話し、そのようにならないためには、いつの時代にも通じるビジョンを持つことが必要であるとした。そして、自分たちの根幹となるEcilipseではどのようなチーム開発を行うことで根幹たる存在にまでなり得たのか、その秘訣を明らかにした。名著として知られる「Design Patterns - Elements of Reusable Object-Oriented Software」の著者(GoF:Gang of Four)の1人として、また、Eclipse Java Development Projectのリードであり、EclipseおよびEclipse Tools Project、Eclipse Java Development Projectのメンバーとしても知られるIBM RationalのDistinguished Engineer(DE)、エリック・ガンマ氏、同じくDEでEclipseプラットフォーム開発のアーキテクトでもあるジョン・ウィーガンド氏が壇上に上り、この解説を行った。

ウィーガンド氏とガンマ氏

 Eclipseは2001年11月、IBMによるオープンソース化で誕生したが、その決断前後には、その必要性や価値を疑う声もIBMの開発チームから声が上がったこともあったという。

 しかし、オープンソース化により、「透明性」「継続的なフィードバック」といった重要な価値を手にすることで、高品質のプロダクトをリリースし続ける今のEclipseにつながったのだとする。

 「バージョン3.1のパフォーマンステストでわれわれが期待したほどの結果が出ないことがあった。それをコミュニティーに見せないほうがいいのではないかとも考えたが、しかしそれではフィードバックも得られないわけで、結果として公開して厳しい意見ももらいながらも、改善にこぎつけることができた。また、フィードバックは開発者のモチベーションにもつながる」(ガンマ氏)

 両氏が重要としたのは、プロジェクトには透明性のみならず持続性も必要で、かつ、プロジェクトに対するコミュニティーの関心をいかに持続させるかという点だった。コミュニティーの関心がなくなれば、リアルタイムでコミュニティーのニーズを把握することができなくなる上、フィードバックが継続して得られるはずがないからだ。

 2人と入れ替わりに登壇したリー・ナックマン氏と、DEでCTOでもあるマーティン・ナリー氏は、オープンソースを取り込んだRational製品がビジネスの側から駆動し要求されているものとどのように価値を合わせているかを説明した。

ナックマン氏とナリー氏

 ここでもっとも強調されたのはガバナンスであり、ナックマン氏は、「ガバナンスはプロセスの一部であり、開発プロセスの外にあるものではない。同時に、効果的なガバナンスは毎日の業務の中で価値を与えてくれるものでなければならない。当然、トップダウンのガバナンスは、開発者がそれによって価値を得られない限り失敗する」と話す。しかし、多くのガバナンスは自動化することができるのだとも付け加える。

 一方ナリー氏は、真に透明性を持つ組織というのは、口にするのは簡単だが、これは非常に難しいとする。ベストプラクティスの文書化も必要となるし、それをカスタムしていくことになる。カスタムも欠かせない。しかし、Rationalはそれを可能にすることを追求してきたのだと力強く語った。

ベールを脱いだJazz

 今回発表した「IBM Rational Software Development Platform V7.0」(Rational SDP V7.0)についてナックマン氏は、「従来、開発、ビルド、デプロイのそれぞれがマニュアルで連携させていたことで、時間も掛かり、エラーのリスクも高まっていたわけだが、この連携をいかに実現するかを考えていたと同氏。IBMが2006年5月に買収したBuildForgeの技術がRatinaolの一部となったことで、こうした部分を自動化することができた。つまり、われわれが考える、ライフサイクルの欠けていた穴をBuildForgeによって埋めることができたわけで、真に一貫性のあるソフトウェアデリバリーが可能になった」と話す。

 ここまでひととおり話した後、「少し将来の話も……」と切り出し、「IBM Rational Software Development Platform V7.0」(Rational SDP V7.0)で第4四半期にどのような改良を予定しているか、また、バージョン8以降のRational製品がどのような方向性に進化するかについても説明した。それによると、バージョン7については第4四半期で、Eclipse 3.2とJDK 5をサポート、さらに最新のWebSphereへの対応も図るという。また、バージョン8については、具体的な特徴を挙げる時期ではないため、取り組むべきテーマとして、「ライフサイクル管理のさらなる改善」「Tivoliとの連携強化」を挙げている。

 そして、次の大きな潮流として「Jazz」というワードと幾つかの図を示した。それによると、JazzはIBM RationalとIBM Reserchのジョイントプロジェクトで、そのフォーカスが、鮮明に個人ではなくチームに当てられている。チーム開発が最優先の考え方としてもよい。また、より一貫したソフトウェアライフサイクルの流れを作りつつ、それを極力簡素化しようと取り組んでいるという。

示されたjazz
Jazzのエコシステム

 昨年のカンファレンスでもRational部門のゼネラルマネジャー、ダニー・サバー氏がこうしたコラボレーション機能の必要性を話していたが、これが具体的な形となって現れた格好だ。TomcatやApache Derbyなどオープンソースのスタックによるものと、DB2やWebsphereを用いたものを用意し、ハイエンド、ローエンドのいずれの開発者コミュニティーでもその恩恵を受けられるようになっている。コラボレーションの機能としてもRSSやIMなどを取り込んでおり、例えばIMであればローエンドでJabber、ハイエンドならSametimeを利用するなど、オープンソースとオープンコマーシャルを必要に応じて組み合わせていくプラットフォームとなるという。

BOFで披露されたJazz
IMなども実装。チーム開発に主眼が置かれている

 「Software In Concert」という今回のカンファレンスのキャッチフレーズはJazz発表への伏線だったようにも思われるこの発表は、今後さまざまな期待を集め、また、ソフトウェア開発において注視すべきトピックになっていくであろうことは想像に難くない。

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