抜本的イノベーションを計画しているCEOが86%で世界を上回る――IBCS調べ

IBMビジネスコンサルティングサービスは、IBMが世界の主要11の国と地域において、企業のCEOを中心に行った戦略的課題、ビジョン、関心事に関する調査結果「The Global CEO Study 2006」を発表した。

» 2006年06月15日 16時51分 公開
[ITmedia]

 IBMビジネスコンサルティングサービスは6月15日、IBMが世界の主要11の国と地域において、企業のCEOを中心に行った戦略的課題、ビジョン、関心事に関する調査結果「The Global CEO Study 2006」を発表した。

 この調査では、激化する市場競争に対応するために向こう2年以内に企業の抜本的なイノベーションを計画しているCEOの割合が、世界全体で65%、日本では86%に達したことが分かった。同時に、調査実施の全11地域の中で、日本のCEOがイノベーションに対して最も積極的であることも明らかになった。

 また、今回の調査では、イノベーションについての従来の通説が必ずしも当てはまらず、以下の3つの注目点があることが分かった。また、その3つにおける日本のCEOの回答結果にも、幾つか特徴がみつかった。

 1つ目は、ビジネスモデルにまで踏み込んだイノベーションが必要と認識されていること。より高い競争優位性や飛躍的な成長を実現するためには、新しい商品やサービスをつくり出すこと以上に、ビジネスモデルのレベルでのイノベーションが必要と認識されているという。この項目の結果が、日本のCEOが34%、世界のCEOは28%だったことから、日本のCEOは、コスト削減のようなオペレーションモデルの領域ではなく、ビジネスモデルのレベルでのイノベーションを重視していることが分かる。

 2つ目は、イノベーションの実現には社外組織とのコラボレーションが求められていることだ。イノベーションを実現するには、社内の商品開発担当者や研究者チームが中心となること以上に、競合企業までも視野に入れ、企業や業界の壁を越えた協業が求められるとしている。これについて、日本のCEOの35%(世界は17%)が社内の営業、サービス部門や研究部門にイノベーションのアイデアを期待しており、社内組織を中心にイノベーションを実現しようとしている。

 3つ目は、CEOにイノベーションを自ら指揮する役割が求められていること。イノベーションはブランドマネジャーや商品開発責任者の責任だけではなく、CEO自らが先頭にたって指揮し、さまざまな種類のイノベーションを複合的に推進していく必要があるというのが最近のトレンドとなっている。日本のCEOは、世界の平均を上回り、42%が自らのリーダーシップでイノベーションに取り組む意欲を示している。また、日本のCEOの50%(世界は15%)は、最大の阻害要因として、最先端技術を的確に応用、導入するスキルの不足を挙げている。

 The Global CEO Studyは、CEOや経営層の方々が抱えている戦略的課題、ビジョンおよび関心事を理解・分析することを目的として、世界のトップ企業のCEOや経営層、公共機関のトップを対象に、直接インタビュー形式で調査を行っている。今回は北米、中南米、欧州、中東、アフリカ、日本およびアジア太平洋地域にて計765名、日本では91名のCEOクラスにインタビューを行った。

 2004年に行った前回の調査では、CEOの課題はコスト削減から売り上げ成長にシフトしたことが顕著となった。また、イノベーションが、この課題解決のための最も大きな経営課題であることも示された。

 分析の結果、収益が業界の上位50%に入る企業は、下位50%に入る企業と比較して、約2倍多くビジネスモデルにまで踏み込んだイノベーションの実現に取り組んでいることが明らかになっている。

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