Windows仮想化に新たな道を開くSoftGridとは?(1/3 ページ)

MicrosoftはSoftricityの買収により、クライアントアプリケーションを展開、実行するための新しいインフラを手に入れる。それは現在のMicrosoftインフラよりも高い信頼性と管理性を実現するものだ。

» 2006年06月23日 07時00分 公開
[Peter Pawlak,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 MicrosoftはソフトベンダーのSoftricityを買収する。同社の主力製品「SoftGrid」は、Microsoft Wordなどのような従来の“シック”デスクトップアプリケーションを、現在のMicrosoftインフラよりも容易に、かつ信頼性の高い方法で中央から展開、管理できるインフラを提供する。SoftGridインフラでは、既存アプリケーションは通常の方法でインストールされているかのように動作するが、実際には仮想化されたWindows環境で動作し、ほかのアプリケーションやWindows OSから隔離される。

クライアントアプリの優れた展開と管理方法に焦点

 SoftGrid(2001年出荷開始)が登場する前は、企業は2つの方法を使って、Wordのような従来型の“シック”デスクトップアプリケーションをユーザーに提供していた。1つの方法は、これらのアプリケーションをユーザーのPCにインストールする(さらに、これらを管理するために、アプリケーションのインストール、更新、追跡を中央から行うMicrosoftのSystems Management Serverなどのツールを使用する)というもの。もう1つの方法は、MicrosoftのターミナルサービスかCitrix Presentation Server(旧称Metaframe)が稼働するサーバにアプリケーションをインストールして実行し、ユーザーのPC上のWindowsリモートデスクトップクライアントかCitrix Presentation Server Clientソフトとの間で画面イメージとキーボード/マウス信号を送受信することで、ユーザーがサーバ上のアプリケーションを遠隔操作できるようにするものだ。

 前者の一般的なシッククライアントアプローチでは、ローカルPCの処理能力が利用されており、ユーザーはオフラインで作業できる。だが、アプリケーション間でDLLの競合が発生する場合をはじめ、サポートや管理には多大な手間やコストがかかる。これに対し、Windowsターミナルアプローチでは、管理が容易であり、ユーザーのPCにアプリケーションをインストールする必要はない。だが、オフラインでアプリケーションを利用することはできないほか、かなりのサーバリソースが必要となり、グラフィックスを多用するアプリケーションやマルチメディアアプリケーションはパフォーマンスが悪くなる。

 SoftGridは、各アプローチの特徴の一部を兼ね備えるとともに、新たなメリットをもたらす代替選択肢を提供する。

SoftGridの概要

 SoftGridソリューションは3つの主要な要素で構成されている。アプリケーションを準備するツール、サーバソフト、クライアント側ソフトだ。

Sequencerツール
 アプリケーションをSoftGridで展開するには、SoftGridのSequencerというツールを使って、まずアプリケーションを特別に再パッケージ化しなければならない。Sequencerは、そのための準備として行われるアプリケーションのネイティブなインストールプロセスと、それに続くアプリケーション機能の実行を監視し、アプリケーションとOSのすべてのやり取りを記録する。さらにSequencerは、アプリケーションでどのOSコンポーネントが使われるかを調べ、パターンと依存関係(アプリケーションで使われるDLLのバージョンなど)を分析し、この情報を用いて、SoftGridクライアントソフトが導入されたWindows PCで実行されるSoftGridアプリケーションモジュールを作成する。このモジュールには、オリジナルのアプリケーションソフトに加え、企業が設定した構成データも含まれる。

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