Googleの侵食に先手、SharePointを主軸にエンタープライズ検索を刷新(1/4 ページ)

2007年に新しいデスクトップ検索クライアント、SharePoint Server 2007、Windows Vistaがリリースされ、Microsoftのエンタープライズ検索ソリューションの選択肢はかつてないほど充実する見込みだ。GoogleやYahoo!を抑えて市場シェア拡大を実現できるか?

» 2006年07月11日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 SharePoint Serverを引き続き主軸としながらも、Microsoftのエンタープライズ検索戦略は2007年に刷新される予定だ。今後提供されるデスクトップソフトウェア(Office 2007を含む)は、Windows Vistaに組み込まれる検索エンジンを利用するようになり、新たに登場するデスクトップクライアントではローカル検索、ネットワーク検索、Web検索の結果を統合する。また、SharePoint Serverでは検索機能が強化されるほか、エンタープライズ検索用に調整された価格を抑えたエディションも用意される。この戦略変更により、VistaおよびSharePointの訴求力が高まり、エンタープライズ市場へのGoogleの侵食を食い止められる可能性がある。しかし、混沌とした一連の検索テクノロジーを簡素化する動きはないため、ユーザーが検索テクノロジーを選定するにあたって、パートナーが活躍できる機会は多く残されることになりそうだ。

エンタープライズ検索の現状

 “エンタープライズ検索”ツールはキーワード検索をはじめとする検索機能を提供して、社内のエンドユーザーが検索しにくいあるいは入手できることを認識していない情報を発見できるようにするツールである。このような情報は、テキスト文書、電子メール、メモ、アンケート、スプレッドシート、プレゼンテーション、購入したレポート、データフィードなど、さまざまなソースに保持されていることが考えられる。エンタープライズ検索ツールは通常、イントラネットやメッセージングシステム、ネットワーク上の共有ファイル、データベース、ローカルのハードドライブなど社内システムのデータを検索対象とするものを指すが、一部のベンダーは社外向けWebサイト上のデータ検索を“エンタープライズ検索”と称している。

 GoogleやMSNサーチなどのインターネット検索ツールと概念的には似ているが、エンタープライズ検索テクノロジーの場合は、カタログ作成の対象とするデータが少なくて済む。また、関連性の高さを測るアルゴリズムも異なり、多くの場合ユーザーが検索結果に何らかの手を加えることが可能だ。例えば、属性(作成日や作成者など)をコンテンツソースに割り当てたり、検索結果のうち特定のリソースのデータを目立たせるようにすることができる(例えば、“有給休暇”に対する検索結果では、人事関連リソースのイントラネットページが先頭に来るようにする)。

 特殊なエンタープライズ検索ソリューションを提供しているベンダーには、Autonomy、Convera、Fast、Isys、Vivismoなどがある。Googleも、独自の検索アプライアンスをもって進出を図っている。検索アプライアンスは、エンタープライズ検索を支援する小型のデバイスで、社内ネットワークに接続して使用する。現在エンタープライズツールがGoogleの収入に占める割合は1%に満たないが(その他はインターネット広告による収入である)、Googleは2005年半ば以降、ビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェアベンダーのBusiness ObjectsやInformation BuildersおよびソリューションプロバイダーのSwordをはじめ75社以上のエンタープライズパートナーと契約を結んでいる。また、従来のエンタープライズベンダーも、検索関連製品をラインナップに加えてきている。IBMとOracleは自社のデータベースソフトウェアと連携するエンタープライズ検索ソリューション(それぞれOmniFindおよびSecure Enterprise Search)を提供しているし、SAPもエンタープライズ検索ソリューション(Argo)の開発を進めている。

Microsoftのエンタープライズ検索戦略

 現在Microsoftの主軸となるエンタープライズ検索製品はSharePoint Portal Server 2003であるが、同社はその他の検索製品も提供しているほか、Windowsやさまざまなクライアントおよびサーバアプリケーションにも検索機能を組み込んでいる。

 Microsoftでは、従来からこのようにさまざまな形態で検索機能を提供する戦略をとっている。ある1チームがMicrosoftの基本検索テクノロジー(通称“MS Search”)の開発と改良を担当し、他の製品チームはこれをカスタマイズして、チームの担当製品に実装してリリースする。この方法のおかげで、各製品グループが比較的低いコストで検索機能をさまざまな製品に追加できている。また、iFilterやプロトコルハンドラを使用して検索機能を拡張して、同時に多数の製品を対象とした検索を実現でき、MS Searchがネイティブでサポートしていないファイル形式のファイル(Adobe PDFファイル)や、データベースなどのデータソースを検索することができる。

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