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» 2006年07月18日 07時00分 UPDATE

Vistaの大本命「WinFS」を開発中止に追い込んだMSの企業文化とは? (1/2)

かつてWindows Vistaの3本の“柱”の1つと謳われていたデータベースとファイルシステムの統合テクノロジーWinFSの開発中止が発表された。これはMicrosoftの厳しい社内生存競争を如実に表している。

[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 データベースとファイルシステムの統合を目指したテクノロジーWinFSの開発中止が発表された

 WinFSはかつてWindows Vistaの3本“柱”の1つとして謳われていた目玉機能である。WinFSの構成技術は、SQL ServerおよびADO.NETの将来のバージョンに組み込まれる見込みだ。

 WinFSプロジェクトは、変化が激しく競争も厳しい開発の場において淘汰されたといえる。つまり、MSNデスクトップサーチ(現在はWindowsデスクトップサーチ)など同様のソリューションが、WinFSが実現する予定の最たる機能を提供してしまった。

 これはMicrosoftの“進化論”型開発方針を如実に表している。複数の開発グループが重複する機能や競合する機能の開発に取り組み、淘汰されたものだけがテクノロジーの“適者”になるというものだ。

厳しい社内生存競争の犠牲に

 2003年10月にVista(当時はコード名でLonghornと呼ばれていた)を支える主要機能の1つとしてWinFSは発表された。同機能は、現在のWindowsファイルシステム上に置かれる統合データベースエンジン(SQL Serverを基盤)を使用して、アプリケーションやユーザーがファイルにカスタムプロパティ(デジタル写真を撮影した場所の地理座標など)を設定し、データの検索や整理を簡素化することを目的とするものだった。

 データは複数のデータベース(またはデータストア)に保存され、WinFSはこれらのストアとファイルシステム間でデータの同期を効率よく実行する。また、連絡先や予定表アイテム、電子メールなど、一般的に使用される類のデータの標準のプロパティスキーマも提供する予定だった。WinFSが実現されていれば、ファイルの検索や整理機能の向上、および特定の種類のデータ(連絡先や予定表のイベントなど)の共有を共通スキーマにより簡素化する相互運用性の向上などが期待できた。

 しかしWinFSは、発表以来数々の後退を繰り返してきており、2004年9月にはVistaへの搭載が見送られ、リリース時期未定のまま延期されている。そしてついに、Microsoftの“進化論的”開発戦略の犠牲となった。

 この戦略の下では複数の開発グループが同様の、時には重複するテクノロジーの開発に取り組み、最適と思われる1つだけを残して他が淘汰される。WinFSの場合は、Office部門および開発者向けツール部門(そしてWindows部門内の他のチーム)が、WinFSが提案するメリットの多くをカバーするテクノロジーを開発していた。

ファイル検索機能−Googleおよび自社のデスクトップサーチ
 WinFSのカスタムプロパティによる拡張性は欠いているが、Googleそして自社のMSN部門は、ファイルをすばやく検索するというエンドユーザーにとって最も重要な機能を提供する製品をリリースしている。当然のことながらユーザーの間では、デスクトップサーチがWindowsに統合されると発表された後は、既存のツールで有用な結果が得られるのに、わざわざ追加情報を設定してファイルにタグを付ける必要があるだろうかという疑問が生まれることになった。

ファイル整理機能−OfficeおよびWindows SharePoint Services(WSS)
 企業ユーザーにとっては、Windows Server 2003に搭載されているWSSの機能が、WinFSのファイル整理機能と同様のメリットをカバーしている。例えば、WSSはファイルおよびデータストレージを単一データベース内にまとめ、ドキュメントにカスタムプロパティを設定するシステムを備えている。WSSの利用は拡大傾向にあり、Office 2007ではさらに機能強化が施されているほか、多数のISVがサポートしている。さらにWebブラウザからアクセスできるだけでなく、Officeスイートからも直接アクセスできるため、大半の企業ユーザーがすぐに利用できる。

 また、Officeチームは、Outlook 2007でWinFSスキーマをサポートする計画がないことを表明していた。これはISVからすれば、WSSがより重要な製品であること、およびWinFSを利用して他のアプリケーションと連絡先および予定表などのデータを共有できるOutlookの提供を、2009年ごろまで待たなければいけないことを意味していた。

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