HPからもコード寄与された「Scalix」、オープンソース化へ

MS Exchange互換のScalix。オープンソースとしてのリリースが表明された。

» 2006年07月27日 16時27分 公開
[ITmedia]

 米国ポートランドで開催中のオライリーのオープンソースカンファレンス。この中で、米Scalixが主力製品としている製品「Scalix」のオープンソース化が表明された。

 Scalixは、Linux上で稼働するメールシステム。スケジュール管理などのグループウェア機能も持ち、マイクロソフトのExchangeからの移行を狙った製品である。特にひと目を引く機能としては、Outlookクローンともいえる外観・機能・操作性を持つAjaxベースのWebメールがある。

 今回オープンソース化するのは「Scalix Community Edition」であり、すでに2000名以上のコミュニティメンバー、そして3万5000以上のダウンロード、100万以上のメールボックス稼働実績を持っているもの。

 Scalixのメール機能の中核部分には、これまで米HPの「HP Open Mail」のライセンス供与が行われており、さらに50人年以上の労力をかけて拡張したという。今回、ScalixとHPの合意により、HP Open Mail由来のソースもオープンソース公開することになった。

 なお、発表によるとオープンソース化の適用ライセンスかなり広範囲であり、Scalix Server、アプリケーション間連携のためのAPIプラットフォーム、インストーラ、管理用コンソール機能、Scalix Web Access Mobile、検索ならびにインデックス化エンジンなどが含まれている。逆にクローズドソースとして残るのは、Outlook MAPIコネクタ部のみとなっている。

 幅広いプラットフォームへの移植、ローカライズ、機能拡張、関連するアプリケーションとの連携の強化、これらが促進されるだろうと同社は語っている。実際のところ、オープンソース化に伴い、デスクトップ向けの開発コミュニティー、IP電話、コラボレーションツール、CRMツール、ウイルスやスパム対策、バックアップ、アーカイビングなどのベンダーなどとの連携強化を働きかけるという。

 ただしオープンソース化にあたっては、ソースコードの整理、フォーラムそのほかのコミュニティー向けのサイト整備なども課題として挙げられた。このため、2007年3月までにコンポーネントごとに順次公開するスケジュールだという。

 ライセンスについては、同社独自のScalix Public License(SPL)と商用ライセンスの2本立てであり、いわゆる「デュアルライセンス」を採用する。SPLは、Mozilla Public Licenseをベースにしたライセンスとなっており、商用ライセンスを含むほかのライセンスのソフトウェアとの共存に対し、緩い内容になっている。

 また、メールやグループウェアは、業種や規模を問わずに利用される汎用的なアプリケーション。オープンソース化によって、Scalixのもくろみ通りに機能や利用形態が多様化すれば、Linuxのシェアを高めるキラーアプリになっていくかもしれない。

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