ニューヨーク市のノウハウを生かしたセキュリティコンサルティング

元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ氏が設立したセキュリティコンサルティング企業の日本法人が本格的な活動を開始した。

» 2006年08月02日 19時28分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「ITセキュリティと物理的セキュリティ、内部統制に代表される組織の問題は連携している。部分的に、タテ割りで考えるのではなく、全体を見ながら取り組んでいかなければならない」――ジュリアーニ・セキュリティ&セーフティ・アジア(GSSA)の代表取締役会長兼CEO、ウィリアム斉藤氏は、8月2日に開催した事業戦略説明会においてこのように語った。

 GSSAは、元ニューヨーク市長のルドルフ・W・ジュリアーニ氏が設立したコンサルティング企業、米Giuliani Partnersのセキュリティ・コンサルティング部門であるGiuliani Security&Safetyの子会社だ。フォーバルとの合弁会社の形で、2006年6月に設立されている。

ジュリアーニ・セキュリティ&セーフティ・アジア(GSSA)の代表取締役会長兼CEO、ウィリアム斉藤氏

 同社の特徴は、米国同時多発テロの事後処理や復興に当たったジュリアーニ氏が率い、さらに初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏を最高顧問に迎えていることからも明らかなように、広義の安全や危機管理に関するコンサルティングを提供することだ。また、治安回復プログラムなど、ニューヨーク市の運営で実績を上げた安全改善策や運営、データ分析のノウハウも生かしていく。

 具体的には、いわゆる脅威/脆弱性対策だけでなく、物理的設備のセキュリティ対策や緊急時に備えた対策の立案、災害やテロなども含めた危機管理といった分野をカバーするという。また、セキュリティトレーニングや継続的な改善のサポートといったサービスも提供する。

 例えば、同社のコンサルティングメニューの1つに「事業継続」がある。米国同時多発テロの際の復旧作業や、それ以前からのEOC(Emergency Operation Center)の準備などに関するノウハウをベースに、ビジネスリスクの分析と災害対策ポリシー、事業復旧計画の立案などを支援するものだ。

 おもしろいことに、米国では事業継続計画(BCP)の立案に取り組むことで、ビジネスそのものの効率向上につながる結果が出ているという。「本社機能の整理やスタッフの連絡先の把握といった棚おろし作業は、テロなどが発生したときだけでなく、日常的なツールとしても利用でき、企業の対応力アップにつながる」(斉藤氏)

 米国では、BroadwaterやEntergyといったエネルギー関連企業を中心に顧客を持つが、日本では特に業種を問わず、民間企業全般にサービスを展開。ITと物理的なセキュリティ、組織的セキュリティを包括した「ワンストップのフルサークルセキュリティを提供していく」(斉藤氏)という。

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