MS自社株の買い戻しは目標量に達せず、株主の思いはどこに?(1/2 ページ)

Microsoftは、リバースダッチオークション方式により、最大8億800万株(最大200億ドル相当)の自社株を買い戻そうという計画は結局、1億5500万株を取得するに留まった。同社は今後、不足分を一般市場で購入することになりそうだ。

» 2006年09月04日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 リバースダッチオークション方式により、最大8億800万株(最大200億ドル相当)の自社株を買い戻そうというMicrosoftの計画は結局、1億5500万株弱(38億ドル相当)を取得するに留まった。株主が十分量の株式をオークションにかけなかったからだ。

 この結果は、株主が株価の上昇を予想しているか、あるいはMicrosoft株を所有していれば株価下落のリスクを上回るメリット(着実な配当など)を享受できると期待していることの表れだ。

不十分だった入札量

 Microsoftは2006年7月20日に2006年第4四半期決算を発表した際、8月17日までに200億ドル分の自社株を買い戻す意向を明らかにした。これは、Microsoftが以前から進めている積極的な自社株買い戻し計画の一環だ。同社はすでにこの2年間で、300億ドル分以上の自社株を買い戻している。

 こうした買い戻しの狙いは、従業員への株式交付やストックオプションによる株式価値の希薄化を緩和し、また「Microsoftの保有現金(2006年6月30日現在で342億ドル)は企業買収や訴訟和解金の資金として必要な額を上回っており、こうした現金の一部を株主に還元すべきだ」との考えを持つ株主らを満足させることだ。

 これまでの買い戻しとは異なり、Microsoftは2006年夏の買い戻しをリバースダッチオークション方式で行った。株主が入札に招待され、入札の際には、株主が売却希望株数と、22ドル50セントから24ドル75セントの間で1株当たりの売却希望価格を指定するという方式だ(入札者は自分が指定した売却希望価格を下回る価格での株式売却を強制されることはない)。Microsoftはオークションの締め切り時点で、各入札者の入札値を順守しつつ、“8億808万808株を買い戻せる範囲内(購入費用は約200億ドル)で最も低い数値”を実際の買い戻し価格に設定する。

 同社はダッチオークション方式を採用した理由を説明していないが、おそらく、株価の大きな変動や相場操縦の疑いをかけられるのを避けるための試みだったのだろう。もしMicrosoftがわずか4週間のうちに一般市場で自社株を8億800万株も購入していたとしたら、株価は劇的に上昇していただろう。またMicrosoftは競売価格に下限を設けることで、事実上、株価が22ドル50セントを下回ることがないという点をオークションの締め切り前の段階から保証することができた。

 Microsoftは8月24日、今回のオークションでは結局、1株当たり24ドル75セントで1億5500万弱の株式を買い戻すとの見通しを明らかにした。買い戻し総額は38億ドル。Microsoftはこの結果についてそれ以上の詳細は明らかにしていないが、おそらく、Microsoftが当初の目標を達成できるだけの十分量の株式を株主がオークションにかけなかったということなのだろう。

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