「消費者に安心感を与えたい」、JEITAがソニー製電池問題の原因究明へ委員会設置

JEITA会長の秋草直之氏は定例会見において、ソニー製のリチウムイオン充電池が発火する問題に対し、特別委員会を設けて原因究明と情報開示に当たる方針を示した。

» 2006年10月17日 21時28分 公開
[ITmedia]

 電子情報技術産業協会(JEITA)会長の秋草直之氏(富士通代表取締役会長)は10月17日、同協会の定例会見において、ソニー製のリチウムイオン充電池が加熱、発火する問題に対し、委員会を設けて原因究明とユーザーへの情報公開に当たることを明らかにした。

 JEITAでは一連の事態を受け、パーソナルコンピュータ事業委員会委員長の山本正己氏(富士通経営執行役)を委員長とする、ノートPCのリチウムイオン電池安全利用に関する特別委員会を設置。電池工業会などと密に連絡を取りつつ原因の究明を進め、対応策をまとめていくという。また、ソニーに対し情報開示なども求めていく方針だ。

 秋草氏は、電池の発火を巡る一連の事件では、非常に情報が混乱していると述べた。電池そのものに問題があるのか、特定のロットのみの問題なのか、あるいはバッテリーパックの周辺回路も関係してくるのかなど、さまざまな要因がからんでくることに触れ「技術的原因が分からないままに走っている状態」(同氏)という。

リチウムイオン充電池の発火問題では「正直私どもも混乱している」と述べた秋草氏

 秋草氏は「原因が何なのか、はっきりしないうちに動くことはできない」とし、その部分を委員会を通じて明らかにしていきたいとした。原因の検証を進め、早ければ数週間のうちに消費者向けの情報開示を行うとともに、PCメーカー各社へガイドラインを提示していく方針だ。

 同氏は「一般消費者や量販店は何となく疑心暗鬼を抱いている」とし、このマインドが年末商戦に響くことを懸念。原因の検証と情報開示を通じて、消費者に安心感を与えたいとした。

 秋草氏はまた、会見の中で、阿部新政権が教育再生を強調していることにも触れた。「教育の問題も、われわれの業界と無縁ではない」と言う。

 というのも、業界を担うはずの理工系学生の比率が減少傾向にあるからだ。国立教育政策研究所の調査によると、日本の小/中/高校生の理科離れも顕著という。例えばIEA(国際教育到達度評価学会)による中学2年生を対象とした国際比較調査では、「理科を使う仕事に就きたい」という生徒の割合は21カ国中最下位だった。

 「この子たちが働き盛りになったときどうなるか。長期的に見たときに大変な問題であり、今のうちから手を打つことが大事だと思っている」(秋草氏)。

 秋草氏は理科離れの原因を「個人的には(理科に興味を持つ)動機がないことだと思う」とし、さまざまな工場や天文台見学、あるいはPC自作体験のような、理工系の世界に触れる機会が少ないのではないかと指摘。こうした取り組みをもっと制度的に行うべきではないかと述べ、その一例として、こうした見学/体験会に要する費用を課税対象外にするというのも1つの案だとした。「そのへんから理科好きを作っていきたい」(同氏)

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