スパマーの逆襲――進化するアンチ・アンチスパム(1/2 ページ)

スパム増加率は59%に達し、今やスパムはメールの91%を占めているらしい。しかも、事態はさらに悪化しそうだ。

» 2006年11月14日 10時19分 公開
[Larry Seltzer,eWEEK]
eWEEK

 皆もう目にしたことだろう。この数カ月、スパムはギャングと戦う警官のように活発になっている。量だけではない。これまでかなり信頼性があったフィルタリングメカニズムをすり抜けるスパムが増えた。苛立たしく憂うつな状況だ。

 この状況を作り出した要因はたくさんある。そのすべてに共通しているのは、残念なことに、スパマーがますます腕を上げているということだ。

 ボットネットは非常に高度化したために、停止させるのはほとんど不可能だ。最近のスパム急増はおそらく、力の誇示であり、またボットマスターが地下ネットワークを開発する努力の成果を活用しているためでもある。

 この「急増」はどれほどのものなのだろうか? 1日に10億通を超えるメールを処理しているホスティング型セキュア電子メールサービス最大手のPostiniなら、リアルタイムで知っているはずだ。同社によると、スパムの量は過去1年間で120%増えたが、過去2カ月間での増加率は59%に上ったという。これは、わたしがよそで聞いた数字とほぼ合っている。非常に高い増加率だ。

 また別の要因に、セキュリティベンダーのBorderwareが言うところの「アンチ・アンチスパム」――スパム対策を出し抜こうとするスパムという意味だ――がある。スパマーはあらゆる種類のトリックを身につけている。

 例えば、受信者がメッセージを拒否した場合、スパマーは本物のメールサーバのようにメッセージを再送しようとする。スパマーは従来、メッセージを送信した後はエラーを無視する愚直なメール送信プログラムを使っていた。

 多くのスパム対策システムはこの特徴を利用して、「グレイリスティング」と呼ばれる手法を採用している。これらのシステムは、認識できない送信者からのメッセージを一度拒絶し、再送されたものを受け取って、その送信者をホワイトリストに加える。これは、スパマーは再送信しないという前提に立っている。グレイリスティングはスパム対策の歴史の捨て札置き場に向かっているようだ。

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