米政府、IT業界の人材不足に危機感を表明

米国政府によるIT業界の人材不足が明らかとなった。その結果、スキル不足も深刻な状況にあるという。

» 2006年11月20日 12時24分 公開
[Stan Gibson,eWEEK]
eWEEK

 米商務省の技術担当責任者によると、ドットコムバブル崩壊の余波でIT分野を目指す人々が大幅に減った結果、IT業界は人材不足に直面しているという。

 商務省のロバート・クレサンティ技術担当次官は米eWEEKとの独占インタビューで、「IT労働力のスキル不足は、かつてなく深刻な状況だ。適切なスキルセットを持った技術者が不足している」と語った。

 クレサンティ氏によると、米国の専門学校や大学では技術系の学生が減少しており、これがITプロフェッショナルの不足という事態を招く結果となっているという。技術系の学生を増やす対策を進めるとともに、就労ビザ保有者などを含む外国人労働者に門戸を拡大する必要性を同氏は強調。「就労ビザ保有者を受け入れなければ、わが国の経済は混乱に陥るだろう」。

 「学生ビザの発給事務の迅速化も必要だ」と同氏は話す。9.11同時テロ以降、ビザの審査基準が厳しくなったために、多くの外国人学生が米国に留学することができないでいるという。「インドだけでなく、ロシアやイスラエルなどの国々の学生も影響を受けている」と同氏は話す。

 多くのソフトウェアベンダー、特に小規模ベンダーを悩ませているソフトウェア特許の問題について、クレサンティ氏は厳密に定義されたソフトウェア特許を発行するという方針を支持するとした。米国特許商標局はこの数年、手続きの厳格化を進めている。これは、特許審査官が処理件数に応じて報酬を得ていた以前の時代と比べると大きな進歩だという。

 それでも特許商標局の推計によると、疑問のある特許認可が年間1万件にも上る、と同氏は指摘する。現在、特許制度の改正を目指した法案が上下両院で審議中だ。

 中国訪問から最近帰国したばかりのクレサンティ氏によると、中国での研究施設や教育機関への投資の多さに「度肝を抜かれた」という。「わたしが会った政府高官は、ほとんど全員が技術者だった」と同氏は話す。「中国は本格的に台頭しつつある。数学と科学が社会に根付いている。米国は法律家の国だが、彼らは技術者の国だ」。

 「中国との技術取引の障害となっている知的財産問題は、政府の貿易担当者と中国当局者との会談で常に最重要の議題となっている」と同氏は話す。

 クレサンティ氏によると、将来の技術で最も重要なのはナノテクノロジーだという。ナノテクノロジーにまつわる健康問題への懸念に対処する必要があるとしながらも、「わが国はナノテクノロジーの分野でリーダーにならなければならない。将来は、あらゆるものがナノテクノロジーから生み出されるようになるだろう」と同氏は話す。

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