ニュース

「WWW」の父が語るWeb世界の未来像

W3Cアジアホストの開設10周年を記念し、祝賀会とWebの今〜未来を語るシンポジウムが行われた。
2006年11月28日 20時06分 更新

 W3C(World Wide Web Consortium)のアジアホスト開設10周年を記念する祝賀会とシンポジウムが11月28日、東京都内のホテルで開催された。

 W3Cは、Webに関する指針の策定を行う国際的なコンソーシアムとして1994年に発足し、400以上の組織が加盟する。日本およびアジア地域を統括するアジアホストは、1996年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に設置されている。

斎藤信男氏 挨拶する斎藤信男W3Cアジア担当副議長

 W3Cアジア担当副議長の斎藤信男氏(慶應義塾大学名誉教授)は、Webの歴史はWeb 2.0の誕生でひと区切りを迎えたとして、「今後はWeb 3.0や4.0と呼ばれるような次のプラットフォームを創造するリーダーとなりたい」と挨拶した。シンポジウムでは、W3Cの活動成果や産業界との関わり、将来果たすべき役割について、関係者やWeb分野の研究者らがディスカッションを行った。

ティム・バーナーズ―リー氏 「モバイルでのWeb利用拡大は面白いことになる」とティム・バーナーズ―リー氏。

 総括として行われた対談には、慶應義塾大学常任理事の村井純氏とW3C技術統括責任者ティム・バーナーズ―リー氏が登壇した。日米を代表する「WWWの父」は、インターネットやWeb世界の現状と将来への課題について語った。

村井純氏 「ミッションクリティカルでのWeb利用拡大で遅延は大きな問題になる」と村井純氏。

 リー氏自身は現在、モバイル分野に注目しているという。「開発環境のオープン化や世界的なユーザーの拡大で今後の発展が楽しみだ。特に文字でのコミュニケーションに注目したい」と語った。

 村井氏は、「日本ではメールやチャットが発達し、欧米と比べてアジア圏は音声よりも文字でコミュニケーションを行う文化がある」という。リー氏もIMをチャットのように利用するなど、「Webやアプリケーションで、ユビキタスに文字や写真でのコミュニケーションが交わされるだろう」と述べた。

世界の通信 2005年の国家間での通信トラフィック状況。米国を経由する通信がとても多い。

 現在のインターネット通信の利用について、村井氏によれば約80%がP2Pであり、残りの10%ずつが映像(VODなど)とTCP通信になるという。「新たな利用形態の広がりでプロトコルが多様化した。ネットワーク負荷が高まり、ユーザーはリンク先をクリックした際の反応の遅さ(遅延)を気にし始めた」と、村井氏は指摘した。

 リー氏はWeb世界でのコミュニティ拡大や個人情報の扱いなどについて触れ、「Web利用では実際の社会や人々の生活にどのように影響を与えるのかをしっかりと考える必要がある」と述べた。また、映像配信やWebアプリケーションといった利用形態の多様化に関して、「インターネットは平等なものであり、個々の利用においてどのような方法がネットワークの適切な利用につながるのかという検討を深めなければならない」と締めくくった。

[ITmedia]

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.




キャリアアップ



エンタープライズ・ピックアップ

news004.jpg 世界で勝つ 強い日本企業のつくり方:利用契約の検討――グローバルクラウドで失敗しないために(前編)
2010年以降、クラウドサービスの利用がさらに加速する。サービスを利用する企業はプロバイダーのデータセンターに預けた自社情報を保護するために、法的な要素を理解しておかなければならない。企業が注意を払うべき法的な検討事項を整理する。

news001.jpg IT投資の新方程式:「Twitter使ってます」――現役MS社員が“社員力”を語る(前編)
マイクロソフトが掲げるプロモーションメッセージ「社員にチカラを。ITで企業力を。(以下、BIEB)」からは、ITで社員の生産性を向上することが業績の拡大につながる、といったニュアンスを感じる。そこで気になるのが「じゃあ、マイクロソフトの社員自身はどうなのよ?」ということ。3人の現役MS社員により実態が明らかになる……?

news010.jpg 産業構造を変えるか:「住宅クラウド」の衝撃
住宅都市工学研究所が進める「住宅クラウド」は、クラウドが企業のIT領域にとどまらず、ビジネスのやり方自体を変える可能性を示している。

news010.jpg オルタナティブな生き方 栗原進さん:ネットでリアルを楽しくしたい
SE出身の企業広報マンでありながら、趣味は落語で憧れの人はインディ・ジョーンズとアナログ全開の栗原さんに、ブログを書く理由やネットからはじまるコミュニケーションについて伺った。

news001.jpg 最強最速アルゴリズマー養成講座:トップクラスだけが知る「このアルゴリズムがすごい」――「探索」基礎最速マスター
プログラミングにおける重要な概念である「探索」を最速でマスターするために、今回は少し応用となる探索手法などを紹介しながら、その実践力を育成します。問題をグラフとして表現し、効率よく探索する方法をぜひ日常に生かしてみましょう。