Red Hatは「かわいいペンギン」から「最大の敵」に――JBossフルーリ氏(1/3 ページ)

Red HatのJBoss部門のマーク・フルーリ上級副社長がインタビューに答えた。Red Hatは誰からも愛される「かわいい」ペンギンから最大の敵へと変わったという。

» 2006年12月05日 10時45分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Red HatのJBoss部門のマーク・フルーリ上級副社長は、11月20〜22日に独ベルリンで開催された「JBoss World」カンファレンスにおいて米eWEEKの取材に応じ、JBossの開発研究に対するRed Hatの投資の拡大、JBossのコードベースとガバナンスモデルの進化、雇用および技術について語るとともに、Red Hatの「かわいい」ペンギンに歯が生えてきたと述べた。

―― この半年間、JBossの開発者たちはどうしたのですか。おとなしいですね。

フルーリ 確かにおとなしいです。わたしの感覚からすれば、少しおとなしすぎるくらいです。この間、Red Hatとの統合作業を進めてきました。販売部門は統合が完了しました。R&D(研究開発)部門は影響を受けていません。われわれはこの事業を拡大しようとしています。これまでのところ、R&D部門の統合作業は困難を伴っています。

―― JBossを嫌っている人々が何と言っているか知っていますか。

フルーリ 何と言っているのですか。

―― JBossの連中は姿をくらましたとか、金を持ち逃げしたとか言っていますよ。

フルーリ われわれが現在リリースしようとしている製品は、そういった見方が間違いであることを証明しています。AS(Application Server)5リリースでは、クラスタリング機能に関して大幅な改良が施され、マイクロコンテナもほかのプラットフォームに対応した最先端のPOJO(Plain Old Java Objects)マイクロコンテナへと全面的に刷新されます。ESB(Enterprise Service Bus)およびjBPM(Java Business Process Management)にも大いに注力しました(関連記事)。トム・ベイエンズ氏(JBossのコア開発者)はjBPMの開発に燃えています。また、ガビン・キング氏(JBossのコア開発者)はSeamの開発に燃えています。このチームは、JavaだけでなくWeb環境を対象とした非常にエキサイティングな技術を提供しようとしています。

 別の見方をすれば、JBossの研究開発部門を素早く成長させるのに必要な投資を得るためにRed Hatと一緒になったのです。しかしまだ投資は行われていません。わたしとしては、これがやや不満なところです。しかしいずれ投資が行われるでしょう。なぜなら、われわれの製品スタックを拡大する必要があるからです。しかもLinux分野での競争という観点で考えれば、急速に拡大する必要があるのです。競合各社はすべて、ミドルウェア市場におけるわれわれの勢いを鈍らそうとしています。

 たぶん、そういったことを背景に、ミドルウェアの勢いが止まったというような噂が広がっているのでしょう。しかしわれわれがRed Hatとしてやるべきことは、このミドルウェアの勢いを加速することであるのは明らかです。ですから、われわれはそれに取り組んでいるのです。

―― JBossはRed Hatの一部門となって6カ月になります。現在はどんな様子ですか。OS部門のスタッフから命令を受けているのですか、あるいはその逆ですか。主客転倒しているのは誰ですか。

フルーリ わたしには権限がありません。これはわたしの会社ではないのです。わたしは主客転倒してはいませんが、こういった構図とは無関係です。大切なのは、開発者が邪魔されることなく自分の仕事を続けているということです。この状態が続くのを望んでいます。というのも、結局はRed Hatの経営陣に関心があるのはOSであり、ミドルウェアでないからです。彼らが開発の邪魔をするようなことがあれば、わたしは彼らを憎むでしょう。

 先ほども言いましたように、R&D部門に大規模な投資が行われていないことに対し、わたしはやや失望しています。販売、サポート、マーケティング部門には投資が行われましたが、これは業務サイドのことです。R&D部門の方は、大規模投資という恩恵をまだ受けていません。これはわたしが望んでいたものであり、Red Hatと一緒になった最大の理由でもあったのです。

 しかし、彼らはまだ邪魔をしていないという見方もできます。社風も違えば、オープンソースに対する姿勢も違うために、不満の声も聞かれましたし、対立することもありました。わたしが望んでいたような大きなプラスにはなっていませんが、彼らが邪魔をするといった形でのマイナスも生じてはいません。現時点はプラスマイナスどちらとも言えない状況です。必要なのは投資であり、われわれはそれを待っています。

       1|2|3 次のページへ

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ