経営者よ、管理者よ、「針のむしろ」に座ってみませんか?企業にはびこる間違いだらけのIT経営:第21回(1/2 ページ)

キャリアも積み、役職が上がってきた人ほど「改めて学ぶ」ということが大切だ。勉強というのはいつになっても苦行が伴う。しかし苦しい分、得るものも大きい。

» 2006年12月12日 09時00分 公開
[増岡直二郎,アイティセレクト編集部]

 勉強をしない経営者や管理者は意外と多い。こうした立場にいる人たちは常に「勉強をしないと、置いて行かれる」という強迫観念を持って、自らに緊張を強いなければならない。今回は「勉強する」ということについて、その方法論も合わせて検討する。

顧客と接触し、社内では徹底的に議論せよ。

 では、「勉強」というが何をすればよいのか。

 まず読書がある。社外の研修やセミナーもある。優れた経営の例を見聞することもある。特にIT導入については、自分の目で導入現場を確かめることは有益である。しかし、いずれもダボハゼ的に食らいついてもだめだ。時間に制限があるのだから厳選しなければならない。

 そういうオーソドックスな方法の他に、ぜひ試みて欲しい方法がある。

 社内関係者と徹底議論することと、地域社会や顧客・消費者との接触である。

 社内議論をする場合、ただ議論をするのではなく、読んだ書物の内容や見聞した実際の経営例をテーマに、社内の専門家を交えて徹底的に議論するのがよい。ただし、素直に聞く耳を持たなければならない。この手法は、特にITについて有効である。お任せ型・妄信型・アンチIT型いずれの経営者も、新しい考え方に触れ少しずつ変化していくかもしれない。

 地域社会や顧客との接触だが、英国には経営トップがホームレス生活者の現場を訪問する活動があるという。その背景として、英国には社会問題の解決に企業は何ができるか、企業が地域社会にいかに支えられているかということを、社員が社会貢献活動を通じて認識する体制ができている。こうした機会を通じて企業と社会のつながりを理解し、あるいは痛みの分かる 経営をすることが可能となる。立派な勉強の手法である。

 トップなど幹部が顧客を訪問する場合、営業部門は上司に好印象を持ってもらうために、関係の良好な顧客を選んで幹部を案内するのが通例である。それではせっかく時間を割いて訪問しても、耳に心地よく響く話しか聞こえないし、得るところが少ない。顧客の本音の意見を聞くには、むしろ関係がよくない顧客を訪問すべきである。しかし、営業部門はそういう顧客への案内を避ける。そのため幹部自ら営業情報を検索してクレームの多い顧客を選択し、案内を請うべきである。「針のむしろ」になるだろうが、その方がはるかに勉強になる。

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