法人市場、6000万ユーザーは狙える――KDDI、小野寺氏

KDDIの小野寺会長は、今年最後の定例会見で2007年の携帯電話市場やNGNについての見解を述べた。

» 2006年12月20日 20時33分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 KDDIの小野寺正代表取締役社長兼会長は12月20日、東京都内で2006年最後の定例会見を行った。2007年の携帯電話市場の見通しについて、「個人契約者の伸びが頭打ちする中で法人市場が活性化している。2006年と同程度の伸びが期待できるだろう」と述べた。

小野寺正代表取締役社長兼会長 小野寺正代表取締役社長兼会長

 小野寺氏は、携帯電話各社の法人向けサービスメニューの拡充や情報機器などに搭載する通信モジュール契約が拡大している背景を踏まえ、「個人契約端末の業務利用は多いが、情報保護の観点からも望ましいものではない。適切な利用形態に改める企業が徐々に増えるだろう」と話す。

 会見後の質問で小野寺氏は、法人市場規模の見解について「1人で複数端末を使い分けるユーザーもいて、個人契約数は間違いなく1億契約に届く。法人契約も同様に考えると、仮に国内の労働人口を6000万人とすれば、その6000万に近い数の潜在的な法人ニーズがあるだろう」と述べた。

NGNはNTT対抗策が狭まることを危ぐ

 NTTグループの次世代ネットワーク(NGN)について、小野寺氏は「ダークファイバやドライカッパーの多くの部分、地域アクセス網の利用でNTTに依存するという構図は、NGNでも変わらない。問題は、NGNと自社のネットワークは1対1の形でつながるということだ」と話す。

 小野寺氏はNGNが本格化すれば、「NTTの競合関係を保つために自前でダークファイバなどを整備する必要ある。実質的には難しい問題であり、NTT以外の事業者にとっては事業の自由度が狭められることになる」と危機感を募らす。なお、NTTのNGNとの接続試験はNTT東日本と行うという。

システム設計にミスがあった

 KDDIでは、12月17日にシステム障害からモバイル番号ポータビリティ(MNP)業務を一時的にストップ(関連記事)させた。小野寺氏は会見の中で改めて謝罪を行い、「年間のピークとなる春商戦(3月)の処理量を想定してシステムを設計したが、再検証では実際の処理能力が小さいことが判明し、準備が不十分だった」と説明。今後は早急にシステムを増強させ、対応を図るという。

 またMNPによる加入動向については、「MNPを使わない新規加入ペースが衰えていない。番号が変わっても構わないという利用者が多いことが浮き彫りになった」と述べた、MNP導入によって市場全体が活性化されている、との見解を明らかにした。

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