サン、新たなブレード製品とユニークなサービスを発表

Sun Microsystemsは1月9日、最新の「Sun Blade X8420」をリリースし、Sun Blade 8000シリーズのユーザーを対象としたハードウェアアップグレードのサービスプログラムを発表した。

» 2007年01月10日 16時47分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Sun Microsystemsがブレード市場における足場の拡大をもくろみ、ユニークなハードウェア交換およびアップグレードサービスを提供して、現在の顧客をつなぎ止めようと奮闘している。

 カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くSun Microsystemsは1月9日、最新のブレード製品「Sun Blade X8420」をリリースし、Sun Blade 8000シリーズのユーザーを対象とした、データセンターのハードウェアをアップグレードする新たな年間プログラムについて詳細を発表した。

 「Sun Refresh Service」と呼ばれる同プログラムに申し込みをしたSunの顧客は、Sun Blade 8000シリーズサーバの導入サービスなどを受けられる。月額料金2万3000ドルを支払う代わりに、3年の契約期間中最大3回まで、ハードウェアアーキテクチャをアップグレードできるという仕組みだ。

 Sunのブレードサーバ製品ライン担当ディレクター、マイケル・マクナーニ氏は、「われわれが始めたプログラムは、コンピュータ業界に長らく定着していた常識の枠を大きく踏み出したものだ」と述べている。

 「他社とは一線を画す当社の新サービスは、業界に新風を吹き込むと考えている。これまでのように、減価償却やリース期間のことを念頭に置いてコンピュータを購入するのとは、まったく異なるアプローチを提案しているのである」(マクナーニ氏)

 マクナーニ氏によれば、同更新プログラムの対象は、高パフォーマンスコンピュータ市場に属するWebベース企業などだという。こうした企業は通例、ハードウェアよりソフトウェアにコストが掛かり、サーバのパフォーマンスを最大化させることが重要になる極めて動的なインフラストラクチャを運用している。

 ある意味でSunは、ブレード製品およびサービスを販売していく新たな道を模索するとともに、みずからの技術革新のルーツに立ち返ろうとしていると言える。

 同社は、IBMやHewlett-Packard、Dellといった競合社がひしめく市場に参入し、ブレードサーバのOEM提供を初めて手がけた企業の1社だった。初期のブレード製品に技術的な問題があったため、2005年は一時的に市場から撤退していたものの、Sun Bladeを発売してからは再び勢いを盛り返した。

 IDCおよびGartnerの最新調査レポートによると、2006年第三四半期におけるサーバ市場の成長率は9%を超えており、ブレードに対する需要の伸びがその主な原動力であったという。

 Sunも同四半期にまずまずの業績を上げたが、ブレード市場を支配していたのは、42.3%のシェアを誇るIBMである。第2位のHPのシェアは35%だったと、IDCは発表している。

 カリフォルニア州ヘイワードのPund-IT Researchでアナリストを務めるチャールズ・キング氏は、いち早くブレード分野に進出し、その後しばらく低迷したSunは、Sun Bladeラインや、Advanced Micro Devices(AMD)の「Opteron」チップを搭載したx86サーバ「Galaxy」ファミリを擁して、今や完全復活を遂げたと話す。

 キング氏は、サーバ分野では珍しいタイプのサービスとして新たなプログラムにも関心を示しており、Sunはイノベーションの原点に回帰するためにこうした試みを行っているのではと分析した。

 「ハードウェアの更新サービスは実に興味深い」とキング氏は述べ、「複数のモジュールに対応した実際的なブレードアーキテクチャおよびサーバモジュールを提供するベンダーが、ついに現れたということだ。ブレードの長所の中でも特に目をひくのは、新しいプロセッサが必要になったとき、システム全体をアップグレードしなくてもよい点である」と語った。

 Sunが生み出した新サービスは、サーバのパフォーマンスを最大限まで引き出し、市場に流通している最新かつ最強のプロセッサへのアップグレードを望んでいる企業に受け入れられるだろうと、キング氏は言う。

 「ここで問題となるのは、そうした需要を痛みを伴わない手段でいかに確保していくかということ。だがいずれにせよ、Sunのサービスは非常に魅力的である」(キング氏)

 新製品のX8420 Sun Bladeは4つのソケットを備え、2.8GHzのAMD製デュアルコアプロセッサ「Opteron 8000」を利用している。ホットプラグ対応のI/Oアダプタに外部接続させることも可能だ。

 オペレーティングシステムは、Sunの「Solaris 10」を使用する。

 すでに販売されているSun Bladeのエントリレベル製品は、1モジュール当たり1万3095ドル。更新サービスを利用できるのは米国内の顧客に限られており、Sunに直接申し込むか、同社のチャネルパートナーに申し込みを依頼する。

 Sunの汎用ブレードに実装されているプロセッサは現時点ではAMDのOpteronだけだが、特殊な通信業界向けブレードには、Opteronのほかに自社の「UltraSPARC 1」(コードネーム「Niagara」)も使用している。

 汎用ブレードにNiagaraプロセッサを搭載する可能性について尋ねられたマクナーニ氏は、Sunは今後もブレード技術への投資を続け、ポートフォリオの拡充を目指すつもりであると述べるにとどまり、そうしたブレード製品を提供する意志があるかどうか、さらにはその具体的なスケジュールに関しては明らかにしなかった。

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