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» 2007年01月31日 17時00分 UPDATE

「PC 2.0の牽引役」――wizpyの詳細が判明

ターボリナックスは、昨年11月に発表した手のひらサイズのPC「wizpy」について、その詳細を説明する記者説明会を開催した。ユビキタス時代のOSのあり方を考えた同製品は「PC 2.0」なる言葉で飾られた。

[西尾泰三,ITmedia]

 ターボリナックスは1月31日、昨年11月に発表した手のひらサイズのPC「wizpy」について、発売日などの詳細を説明する記者説明会を開催した。発売は2月23日から自社のオンラインショップで、3月9日から全国の量販店で発売される。なお、オンラインショップでの予約受付は本日から開始されており、オンラインショップで購入すると、wizpy背面にTurbolinuxロゴが入る(一般販売ではここがwizpyロゴ)ほか、先着200名にwizpy専用のキャリングバックが進呈されるという。

 冒頭挨拶に立った同社代表取締役社長の矢野広一氏は、この企画を着想した3年前には、企業として(Red Hatのように)デスクトップ製品を切り捨て、サーバ向けに特化するか迷った時期もあった」と話す(このあたりの事情についてはこちらの記事が詳しい)。しかし、「Windowsをなぜ使うかという調査結果を見ると、『プリインストールされているから』『Windows向けの製品しか用意されていないから』といった理由で、『Windowsを使いたいから』という理由は皆無だった」とも。それならば、インストールさせる手間を省き、かつどこでも同じ環境で使えるものを提供すれば、ユーザーの支持は得られるはずであると考えたと話し、その目的に沿ったものがようやく世に出ることを喜んだ。

矢野氏 「iPodにKNOPPIXを入れるなど似たような手段はあるかもしれないが、動作の軽さを含めた使い勝手や、ハードウェアまで含めた提供である点は大きく違う」と矢野氏

 すでにある教育機関で試用されているというWizpy。「固定のPCでは、生徒たちがせっかくブックマークしたサイトも、そのPCにしかブックマークされていないため、席の取り合いのような事態があるという。wizpyであればそんなことはない」と矢野氏。自宅、学校、会社、外出先など、場所にとらわれることがないことこそが新たなPCの活用法として提案されるべきであり、wizpyが次世代プラットフォームとして、人とPCが常に1:1でつながる関係から、1:nの関係に移行される「PC 2.0」の牽引役であるとした。

DSC_0483.jpg

 ハードウェアスペックとしては、サイズは84×42×12ミリで、重さは当初の発表からさらに軽量化が進み50グラムとなった。一方、機能面では、前回の発表から大きな変更はなく、音楽再生(OGG、MP3、WMAに対応)、内蔵マイクを使った音声録音、動画(XViD)再生、画像(JPEG)表示、FMラジオ聴取、テキストビューア機能などの機能を備える。

 2Gバイトと4Gバイトの2モデル3種(4Gバイトはソリッドホワイト/ソリッドブラックの2色展開)が用意され、2Gバイトモデルが2万9800円、4Gバイトモデルが3万3800円。製品にはwizpy本体のほか、イヤフォン、USB接続ケーブル、オーディオケーブル、ストラップ、wizpy OS起動ディスク、ユーザーガイド、保証書などが付属する。

DSC_0476.jpg 搭載されるアプリケーションの例。日本語入力環境はATOK

 ローカルPCのHDDの取り扱いについては、セキュリティなどを考慮し、オートマウントは行わない。また、ローカルのHDDに何かのデータを移した場合、Windowsを起動してそのファイルを見ると、巨大な1つのイメージファイルとして存在することになるという。つまり、実体がローカルのHDDにあるイメージファイルをwizpy上では仮想的にローカルのHDDとして見せていることになる。

DSC_0479.jpg wizpyをUSB接続したPCからターミナルでunameコマンドなどを入力したところ

独自のネットワークサービス「wizpy Club」

 また、ユーザーへの付加価値として、独自のネットワークサービス「wizpy Club」の提供も発表された。

 wizpy Clubでは、ソフトウェアのアップデート機能が提供されるほか、ネットワークストレージとして500Mバイト(オプションで追加可能)、OpenPNEで構築されたSNSサービスなどが提供される。将来的には動画配信や音楽配信などのコンテンツ提供やeラーニングなどのIT教育事業もサービスに加えていく予定としている。

wizpy Club wizpy Club画面イメージ

 wizpy Clubの利用料は月額400円だが、初年度の利用料金は価格に含まれているため、実質的にユーザーが負担するのは2年目以降となる。ただし、重要度が高いセキュリティホールなどについては、wizpy Clubに加入していなくてもパッチなどが利用できるようにするという。

 wizpyがターゲットとする市場は、もちろんPC市場。JEITAが調査している国内の出荷台数推移などのデータを基に、コンシューマ市場を現時点で500万台弱と判断、その5%程度の25万台が市場のポテンシャルではないかと話す。そして、もう1つの市場として、中古PC市場も挙げる。その理由としては、wizpyが比較的低スペックなハードウェア環境でも動作することもあるが、むしろ、ライセンス面での問題をクリアできることが注目される理由だ。

 一般に、ソフトウェアは、ソフトウェアベンダー(開発元又は販売元)とユーザーの間で直接、使用許諾契約(ライセンス契約)を取り交わす形が主流であることを考えると、中古PCを購入した際にそのPCに入っているWindowsのライセンスの取り扱いは現時点ではグレーゾーンな部分もある(参考資料)。こうした中古PCでのライセンス問題をクリアできることが同社が中古市場も有力市場と考える一因となっている。なお、こちらの市場規模は、5万台程度を想定しており、前述のコンシューマ市場を合わせた30万台が当面の市場ポテンシャルとなる。wizpyは初年度5万台程度の出荷を見込んでいる。

 また、法人向けモデルの提供の可能性を尋ねられると、パートナーとのOEMモデルなどといった形態での提供を考えていると述べた。

 矢野氏は、「今一番オープンソース(OSS)をうまく使っているのはGoogle。彼らはビジネスの道具としてOSSを使い、ビジネスを進めている。私たちもこれと同じで、Turbolinuxが入っているが、売るのはwizpy」と話し、単なるLinuxディストリビューターからの脱却を模索するターボリナックスの方向性を示した。

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