Web 2.0における、Apache Geronimoの成績は?1分ショートレビュー

Web 2.0の言葉がメディアを賑わしているが、その定義すらまだ明確ではないのが実態だ。本稿では、ティム・オライリー氏が定義する7つの中核的コンセプトの観点からWeb 2.0について考察し、さらにその観点に立って、「Apache Geronimo」の、Web 2.0アプリケーションとしての成績を検討する。

» 2007年02月05日 08時15分 公開
[田中雅晴,ITmedia]

ここで紹介する記事は、developerWorksの「Geronimoへの転向:Web 2.0成績表」です。


 これは少なからず共感してもらえると思うのだが、現在、新しいサービスとなると、ほかの何にもまして使われるのが「Web 2.0」という言葉だ。しかしその実態はといえば、いったい何を意味しているのか誰一人として正確に語ることができない流行語になってしまい、その会社が先進的であるということを主張したいがために使われているだけであることが少なくない。Web 2.0を名乗る会社の多くは、その言葉が本当に意味するものをまるで分かっていないのが現実である。

 Web 2.0が意味するもの、その定義についてあのティム・オライリー氏が定義する7つの中核的コンセプトの観点から検討し、それに対してApache Software Foundationが開発しているオープンソースJavaアプリケーションサーバ「Apache Geronimo」およびGeronimoでビルドできるアプリケーションがどのように関係するかを説明してその「成績」を検討したものがここで紹介する「Geronimoへの転向:Web 2.0成績表」である。

 「Geronimoへの転向」シリーズではこれまで、業界での最新技術とGeronimoでその技術を利用する方法を中心に解説されてきた(関連記事参照)。その注目を集める新しい手法とプラクティスを利用できるかとなると、結局のところ、その最新かつ最高の技術が何であるかということになり、Web 2.0が意味するものを再確認する必要があるからである。

 結論から言ってしまおう。ティム・オライリー氏が定義する7つの中核的コンセプトそれぞれに照らして考えると、Geronimoの総合的な成績はせいぜいC+だとわたしは言ってのける。もちろん、文中では7つのコンセプトそれぞれに対して検討しており、その中には比較的いい成績となっているもの、例えば、単一の大規模システムや専用ハードウェアには依存しないことや、オープンソースの開発モデルから生ずる利点などは評価されている。また、Web 2.0の特徴の1つである、1つのデータに対して複数のアプリケーションを組み合わせて利用できる点についても、誰でも拡張機能や GBean などを追加でき、一方でデータから簡単にSOAPとREST両方のWebサービスを提供できるGeronimoは2通りの方法でこの基準を満たしていると述べられている。しかし一方で、Web 2.0がデータに大きく依存していることを考えると、Geronimoはデータではないので成績はあまりよくないとしている。

 GeronimoをWeb 2.0という観点から見たときの成績はせいぜいC+なのかもしれない。しかし、重要なのは、GeroimoによってWeb 2.0アプリケーションの構築が可能になることであり、その意味ではGeronimoの成績は確実にAとなるとし、Geronimoの評価対象はGeronimo自体ではなく、Geronimoを使って何ができるかであるということに気付くだろう。

 この記事がお勧めなのは、ティム・オライリー氏が定義する7つの中核的コンセプトの観点からWeb 2.0について考察され、Web 2.0とは何かが分かりやすく示されている点である。たまたまGeronimoと関連づけられて語られているが、この考察に沿って考えてみれば、氾濫するWeb 2.0の言葉をより冷静に眺めることができるだろう。

参考になる関連記事

Apache Geronimoの関連記事一覧はこちらに用意されている。特に、Apache Geronimoの将来への見通しを知りたいのであれば「Geronimoへの転向、第8回:Apache Geronimoの将来」が詳しい。


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