AMD、組み込み製品ラインにOpteronとAthlonの新プロセッサを追加

デュアルコアのOpteronプロセッサとAthlonプロセッサのほか、ローエンドの組み込み市場向けのGeodeプロセッサ、および3種類の追加の参照設計キットを発表した。

» 2007年02月13日 14時56分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 米AMDは1月下旬に組み込み製品ラインの拡充を発表したばかりだが、それから1カ月も経たないうちに再び、ハイエンドな組み込みプロセッサのポートフォリオを拡張している。

 AMDはドイツのニュルンベルクで今週開催のEmbedded World Exhibition & Conferenceで、組み込み製品ラインの新製品を幾つか発表する。発表されるのは、デュアルコアのOpteronプロセッサとAthlonプロセッサのほか、ローエンドの組み込み市場向けのGeodeプロセッサ、および3種類の追加の参照設計キットだ。

 AMDによると、これらの新製品はすべて2月12日にリリースされている。AMDはこの分野では、同じく組み込み市場を念頭に置いたプロセッサを製造しているIntelおよびIBMとライバル関係にある。

 AMDは2005年3月、よりメインストリームなデュアルコアのOpteronプロセッサを組み込み製品ラインに追加する方針を発表した。当時、AMDはローエンドの組み込み市場向けの製品として、GeodeプロセッサとAlchemyプロセッサを提供していた。

 AMDはデュアルコアのOpteronプロセッサを組み込み製品ラインに含めることで、ストレージサーバ、ブレードサーバ、通信サーバのほか、デジタル画像、メディア、通信、ネットワーキング、軍事など、よりハイエンドな組み込み市場への参入を果たした。AMDは世界第2位のプロセッサメーカーだ。

 AMDはこのOpteronを発表した後、将来の組み込みプロセッサの計画については何も語らずにいたが、2007年1月24日、同社幹部はSempron 3500+プロセッサとTurion 64 X2 TL-52デュアルコアプロセッサを組み込み製品ラインに追加すると発表した。

 2月12日の発表では、AMDは低消費電力、高性能の新しいOpteronプロセッサもリリースした。クロック速度は1.4GHzから2.6GHzで、DDR2(Double Data Rate 2)メモリを搭載し、1、2、4ソケットサーバに対応する。また、これらのプロセッサは最高95ワットから最低30ワットの熱設計電力枠で製造されている。

 さらに同社はAthlonプロセッサも2モデル追加している。シングルコアの3000+プロセッサとデュアルコアの3400+プロセッサだ。どちらも1.8GHzで動作し、35ワットの熱設計電力枠を提供する。

 「こうした構成(低消費電力の熱設計電力枠、ソケット、メモリなど)にAMDのDirect Connect Architectureなどの要素が追加されることで、OpteronプロセッサとAthlonプロセッサはいずれも、電気通信市場やストレージ、POS開発などの分野に適した製品となっている」とAMDのエンベデッド製品部門担当副社長グレッグ・ホワイト氏は語っている。

 なお、これらのOpteronプロセッサと2つのAthlonプロセッサは、5年間のプロセッサ供給を保証するプログラムとともに提供されるため、価格面でもプロセッサの安定性の面でも安心だ。

 AMDはさらに、新しいGeodeプロセッサ、LX900を投入している。同社によると、この低消費電力プロセッサはわずか1.5ワットで動作する(通常のノートPC用プロセッサは7〜30ワット程度で動作する)。

 AMDはこの低消費電力プロセッサを、シンクライアントPCメーカーのほか、シングルボードコンピュータやPDA、モバイルインターネットデバイス、双方向セットトップボックスなどのデバイスメーカーに販売したい考えだ。

 さらにAMDは、組み込み製品のメーカー向けに3種類の新しい参照設計キットを提供する。1つ目のキットはストレージ用のもので、データを保存でき、さらに冗長性やバックアップ、セキュリティなどの機能を提供できるシステムを設計するための設計要件が提供される。

 2つ目のキットは、シンクライアントやPOSデバイス、シングルボードコンピュータなど、スモールフォームファクタのデバイス用だ。

 3つ目のキットは、通信業界で使用されるブレード向けにOpteron 200シリーズのデュアルコアプロセッサを使用する。これらのブレードは、Network Equipment Building System(NEBS)基準に準拠させて構築できる。NEBSは、企業の通常のデータセンターよりもさらに厳しい環境に置かれたサーバ用に定められた通信機器用の基準だ。

 組み込み製品の開発を専門とするWIN Enterprisesの主任アーキテクト、マット・スティーブンソン氏は、こうしたデュアルコアOpteronプロセッサを使って、シングルボードコンピュータ「MB-06058」を開発した。

 WINによると、このタイプのコンピュータは、軍事、医療画像、航空などの垂直市場で採用されている。

 「市場はMB-06058のようなデュアルやマルチコアのソリューションに大いに関心を抱いている。高い性能、小さいデバイスサイズ、少ない熱発生量が魅力となるからだ」とスティーブンソン氏はeWEEK宛てのメールで語っている。

 「情報技術をめぐってはさまざまな懸念が高まっている。われわれは、こうしたソリューションで成功を実感している。ただし、市場の中心は依然として1つ下の段階、つまり高性能のシングルプロセッサデバイスにある」とさらに同氏は続けている。

 またスティーブンソン氏によると、WINはx86アーキテクチャを専門としているが、AMDはそうしたx86アーキテクチャに対応する組み込みプロセッサのニーズをうまく満たしているという。

 「われわれはx86の方を好んでいる。なぜなら、スケーラビリティが優れており、利用できるアプリケーションライブラリも膨大だからだ」と同氏はメールで語っている。

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