「エンタープライズPLC」の可能性を探るべく、高速PLCにかかわるいくつかトピックスを取り上げてきたが、実環境でどの程度実力を出せるのだろうか。今回は視点を変え、市販のPLCモデムの使い勝手やパフォーマンスについて試してみた。
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本特集ではこれまで、エンタープライズ向けに高速PLCがどこまで活用できるかという点から、PLC技術に関するトピックスを紹介してきた。今回は視点を変えて、現在市場に出回っているコンシューマー向け高速PLCモデムを実際に使用して、その使い勝手やパフォーマンスについて検証してみよう。
実機として利用したのは、パナソニックコミュニケーションズ(松下電器産業)のスタートパック「BL-PA100KT」だ。マスター機(親機)とターミナル機(子機)が2台セットになった構成で、価格はオープン。筆者は大手量販店で購入したが、1月下旬時点で1万9800円ほどだった。
スタートパックの内容はシンプルで、この2台の高速PLCモデム(以下、PLCアダプタと表記)のほか、電源ケーブルと説明書などが同梱されているのみ。LANケーブルは付属していないので、別途購入する必要がある。なお、アダプタを増設したい場合には、増設用ターミナルとして「BL-PA100」が単体で販売されている。これを利用して、1台のマスターに対して、最大15台(推奨台数)のターミナルを接続できる。
まず、BL-PA100KTの外観から見ていこう。サイズはW121×D40×H70mm(突起部含まず)と、思っていたよりもコンパクトだ。上面に「master」というシールが貼り付けてある方がマスター機、何も付いていない方がターミナル機になっている。使用する際にはマスター機にターミナル機の情報を登録する必要があるが、スタートパックではあらかじめ出荷時に設定されている。
前面には3つのインジケータが付いている。HD-PLCネットワークに接続した際に青く点灯する「PLCインジケータ」、イーサネットケーブルを接続した際に緑色に点灯する「LANインジケータ」(データ送受信中は点滅)、マスターとして設定した場合に緑色に点灯する「マスターインジケータ」がある。また、この3つのインジケータを利用することで、マスター/ターミナル間の通信速度を簡易的に測定できるようになっている。
アダプタ上面にあるSETUPボタン(ターミナル側)を1秒ほど押すと、インジケータが点滅し通信速度の測定が始まる。インジケータの点灯の組み合わせによって、1つだけ点灯する場合は10Mbps未満、2つ点灯で10〜30Mbpsほど、すべて点灯すると30Mbps以上という具合に、通信速度のおおよその目安が分かるようになっている。PLCは宅内の配線環境によってパフォーマンスが左右されやすいので、この機能はとても便利だろう。ただし、この速度はUDPプロトコルでの転送をベースにしているので、TCPよりも速くなっている。
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