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» 2007年03月19日 06時07分 UPDATE

Webベースのアプリケーションをオフラインでも (1/2)

Web 2.0の教えによれば、もはやデスクトップアプリケーションのことは忘れて、AJAX化されたブラウザベースのアプリケーションを使うべきだという。けれども、オンラインでいられないときにはどうすれば良いのだろうか? この問題を解決するための各ブラウザ陣営の取り組みを見てみよう。

[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]

 Web 2.0の教えによれば、もはやデスクトップアプリケーションのことは忘れて、AJAX化されたブラウザベースのアプリケーションを使うべきだという。というのもWebアプリケーションなら、インターネットへの高速接続さえあれば、どのOSからでもどこにいても利用することができるからだ。けれども、オンラインでいられないときにはどうすれば良いのだろうか? FirefoxやOperaなどのブラウザでは今、この問題を解決すべく、アプリケーションをいつでもどこでもオフラインで実行できるようにするための取り組みが進んでいる。

 しょっちゅう旅行や出張をする人たち(わたし自身もそうだが)はWebメールやWebベースのカレンダーといったオンラインアプリケーションをよく利用するようになってきている。「路上の戦士たち」がWebブラウザだけで使えるアプリケーションを好むというのは当然のことだ。しかしオンラインアプリケーションばかりに依存していると、異常な吹雪のおかげでデンバー国際空港に足止めされた場合にはかなりの問題となってしまう。

 Firefoxのロードマップでは、オフラインサポートはFirefox 3.0で提供される予定となっている。なお、Firefox開発者マーク・フィンクル氏がFirefoxのオフライン機能についてブログで書いている。また、Firefox開発者クリス・ダブル氏はFirefoxでのオフラインサポートの概念実証コードとして、オープンソースのWebベースメッセージアプリケーションZimbraにオフラインサポートを追加している。

 Opera製品管理担当ディレクターであるジャン・スタンダル氏によると、Operaもまたアプリケーションのオフラインサポートの要望を受け取っているのだという。同氏によると現在のところOperaでは、Webアプリケーションのクライアントサイドの永続ストレージをOpera Widgetsにおいてサポートしているが、WHATWG仕様に準拠した形でのアプリケーション用ストレージについても現在実装中とのことだ。

 スタンダル氏によるとOperaでは特にモバイルデバイスにおいてオフラインアプリケーションに対する多くの需要を感じているという。「(クライアントサイドの永続ストレージを使うことによって)アプリケーションデータへ即時にアクセスできるようになるということが特に重要となるのは、携帯電話や、あるいは携帯電話以外の場合にも接続スピードが非常に限られていたりユーザーがまったくネットワークに接続できないことも多々あるようなデバイスにおいてです。Opera 9では、PCだけでなく携帯電話といったデバイス上でもOpera Widgetsをサポートしていますが、開発者コミュニティーからはクライアントサイドのストレージ機能について強化して欲しいという要望を数多く受けています」。

 オフラインサポートは新しいアイデアではないが、最近、オフラインサポートに対する関心が再燃している。オンライン文書管理ソフトウェアのベンダーiNetOfficeの創業社長であるトム・スナイダー氏は、Internet Explorerには以前からHTML Applicationsを実行する機能があったものの「機能的に、わたしたちが望んでいるほど豊富で完備されたものではなかった」という。

 なお、Firefoxにもしばらく前から簡素なオフライン機能が実装されているが、ページの表示に通常のディスクキャッシュを使用するというだけのものであり、これだけではGmailやZimbraなどのアプリケーションを利用するのには十分ではない。Firefox開発者のフィンクル氏によると新機能は「WHATWG仕様のオフライン機能にいくぶん触発されて」開発されたものであり、Firefoxのオフライン機能のためのパッチやコードは昨年5月から現れ始めたという。

 フィンクル氏によると、オフライン機能はFirefox 3.xでの「優先度: 高」の機能となっているものの、「まだ、この機能のための要件を明らかにしている段階なので、この機能の優先度の再検討も避けられないような何らかの問題や細かい条件などが出てくる可能性はまだある」とのことだ。

完成したらユーザーには使われるのか?

 Webアプリケーションの開発者たちはオフラインサポートを待ち望んでおり、また路上の戦士たちも空港で足止めされてもGmailが利用できることを熱望しているのかもしれないが、常に自宅から快適にオンラインアプリケーションにアクセスしている大部分のユーザーにとってはどうなのだろうか。

 オフラインサポートが一部のユーザーにしか使われないという可能性はあるが、フィンクル氏によると、それでもなおその実現を推し進める価値はあるのだという。「Webアプリケーションの採用を見送る組織に最も引き合いに出される理由の1つが、オフラインでは利用できないからということなのです。そのためユーザーの大部分には必要ないものだとしても、オフラインのサポートを実現することにより、Webアプリケーションの採用を妨げる壁を1つ取り除くことになるのです」。

 もう1つの課題は異種プラットフォーム間での互換性だ。Web開発者はいままでも常に、複数の主要なブラウザ間での非互換性という問題に対処する必要があった。つまり、1つのブラウザだけにターゲットを絞るか、あるいはアプリケーションがすべてのブラウザで確実に動くようにするために数多くの対策を行ない余分な開発やテストを行うことに長時間を費やすか、のどちらかをする必要があった。

 フィンクル氏によると、FirefoxがWHATWG標準を越えてWHATWGにはない機能も提供している部分について、Firefox開発者は「ほかのブラウザにもFirefoxのAPIを実装して欲しいと思っています。わたしたちFirefox開発者はそうすることが簡単にできるように、できるだけすべてを単純にするよう努力してきました。必要なAPIの多くはすでにWHATWG標準になっていますが、それ以外のものについてもわたしたちは、それぞれ適切な標準化団体と協力して取り組みんでいこうと思っています」とのことだ。

 またフィンクル氏によると現在、Web開発者がオフラインサポートを簡単に実装できるようにするためのライブラリの開発も進行中とのことだ。「Web開発者が各種ブラウザ間でのオフラインモードに関する問題に対処するのを手助けするためのJavaScriptライブラリがおそらくできると思います。Dojoなどのプロジェクトが、すべてのブラウザでオフラインアプリケーションを可能にするためのコンポーネントを現在開発しています。ただ、ブラウザによる直接的なサポートなしでは、あまりシームレスな使用感は得られないかもしれません」。

 Operaのスタンダル氏によると、OperaはWHATWGのような「仕様に準拠することについては本気で努力して」おり、Web開発者は Operaに対してそのほかのブラウザベンダー以上に期待して欲しいとのことだ。なお、WHATWG仕様にはない機能を扱うFirefoxのAPIをサポートする可能性についてはスタンダル氏は「HTML 5はまだ未完成の状態」であり、Operaは標準規格を越えたものについてサポートするという約束はできないとしながらも、「(標準規格のWHATWGの仕様がアップデートされれば、その)アップデートされた仕様に基づいて、Firefoxと類似の機能群をサポートする可能性は高い」とした。

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