混戦続き 中堅ERP市場の行く末「勝ち組」ERPベンダーの中堅戦略(1/2 ページ)

ヒートアップする中堅企業市場――圧倒的なシェアを持つベンダーは存在せず、混戦模様が続く。このシリーズでは、激戦区の中堅企業市場での「勝ち組」ERPベンダーの戦略を読み解く。

» 2007年03月19日 07時51分 公開
[河田裕司,ITmedia]

 ERPパッケージは大企業のためのものと考える人はもはやいないだろう。現在のERP市場は既に「中堅・中小企業」へと完全にシフトしている。その中でも特にヒートアップしているのが、中堅企業市場だ。その要因は以下の3点に挙げられる。

  1. 大企業市場の飽和感
  2. 中堅企業の基幹システム見直し需要の鮮明化
  3. 中堅企業に対するERPベンダーの販売合戦の激化

 さらに上記の背景には、景気回復、内部統制・コンプライアンスなどの企業の健全性への対応、ERPパッケージの充実・価格低下などがある。

 この状況下で一体どのベンダーが「勝ち組」となっているのだろうか? そしてその「勝ち組」のベンダーの戦略とは何か? 今回の連載の中でで明らかにしたい。

 まずは、市場の伸びを見てみよう。

ERP市場規模 ERP市場規模

全体市場の伸びを上回る中堅・中小企業市場

 2005年度のERPの全体市場規模は、対前年比8.1%増の1064億円だった。これが2006年度には対前年比8.9%増の1159億円に達する見込みだ。特に中堅・中小企業市場に限って見ると、2005年度は対前年比13.4%増の670億円で、2006年度には対前年比10.6%増の741億円に達する見込みとなっている。中堅・中小企業市場の伸びが全体市場の伸びを上回っており、ERP市場の中心が中堅・中小企業市場にあることが分かる。

 続いて、中堅・中小企業の「ベンダーの競合・住み分けマップ」を見てみると、市場での競争がいかに複雑かつ激化しているかが分かる。

ERPベンダーの競合・住み分けマップ ERPベンダーの競合・住み分けマップ

 この図は、横に「大企業」「中堅企業」「中小企業」の3つの市場に分かれており、その市場におけるベンダーの競合の様子を表したものだ。まず、分かるのは「中堅企業市場にベンダーが密集している」ことだ。また、矢印の向きに注目すると、矢印の多くは各市場の中で完結している。つまり、中小は中小、中堅は中堅というように、市場の住み分けが進んでいることが分かる。

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