Oracle GRID Center――インフラ検証からソリューションの提案へオラクルデータベースの新潮流(1/2 ページ)

2006年11月に日本オラクルが開設した「Oracle GRID Center」は、ソフトウェアだけでなくハードウェアを含めた検証済みの共通インフラの確立を目的としている。設立から四半期あまりが経過した現在、ハードウェアの動作検証を行ったフェーズ1を終え、実際のソリューションを開発するフェーズ2が始まった。

» 2007年03月20日 08時00分 公開
[敦賀松太郎,ITmedia]

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米オラクルも協力する検証組織

 日本版SOX法や新・会社法、あるいは個人情報保護法といった法令遵守(コンプライアンス)対応がきっかけとなり、多くの企業がシステムの再構築に取り組んでいる。特に活発なのが、全社のシステム共通インフラを構築したり、バラバラに個別最適化されてきた業務システムをERPパッケージによって統合したりする動きである。情報システムを一元化することにより、コンプライアンスへの対応で最も重要な内部統制の監査ポイントを最小化できるとともに、情報システムに必要な投資コストの7〜8割を占めると言われている運用管理コストの削減が見込めるからだ。

 そうした共通インフラを構築するには、導入するハードウェア/ソフトウェアが信頼性を保ちながら、業務の継続を維持し続ける可用性、確実に情報を保護する安全性を実現できているという裏付けが必要である。だが、そもそも共通インフラを構築する場合、システムで採用されるハードウェア/ソフトウェア製品のベンダーは、システム全体が相互に及ぼす影響まで考慮して動作を保証することはない。この動作保証ができるのは、プロプライエタリなメインフレームによる共通インフラだけである。導入コストや運用管理コストを大きく削減するオープンシステムによる共通インフラを構築する場合、可用性や安全性を裏付ける検証作業は、実際にシステム構築を手がけるSIerに委ねられてきたわけだ。ところが、各種業務アプリケーションをひとまとめにする共通インフラを構築する場合、SIerだけでは手に負えなくなっているのが実情だ。

 そこで、日本オラクルがハードウェアベンダーを中心とするパートナー各社と協力して設立したのが「Oracle GRID Center」である。オラクルが提唱する全体最適化された統合情報基盤「Oracle GRID」の中核製品「Oracle Database」は、企業システムのデータベースとして世界中で最も多く採用されている。プラットフォームも限定されることなく、Windows、UNIX、Linuxなど幅広いOSに対応する。主要ハードウェアベンダーは、ほぼ例外なくオラクルとパートナー関係にある。つまり、オラクルは、ベンダーが保証したオープンシステムによる共通インフラを提案できる数少ない企業なのである。

 Oracle GRID Centerは、日本独自の検証組織として開設されたものだが、米オラクルも積極的に協力。将来的にはその成果をグローバルに展開する考えだ。

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