UNIXやLinuxで高いシェアを誇るOracle Databaseだが、WindowsにはマイクロソフトのSQL Serverというデータベース製品がある。オラクルのWindowsプラットフォームに対する現状と取り組みについて、見てみよう。
このコンテンツは、オンライン・ムック「オラクルデータベースの新潮流」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。
Oracle DatabaseのWindowsプラットフォームへの対応は14年前にさかのぼる。1993年にはOracle 7がWindows NT 3.1をサポートし、Windows上で稼働する初めての本格的なリレーショナルデータベースとして注目された。その後も現在に至るまで、常に最新のWindows OSに対応し続け、2007年にはOracle Database 10g R2がWindows Vistaをサポートしている。
そんなOracle Databaseは、エンタープライズシステムのデータベースとして長年トップシェアを維持し続けている。だが、Windowsプラットフォームにおいては、同じマイクロソフト製品であるWindowsとの親和性をうたう、SQL Serverというライバル製品が存在する。
オラクルとマイクロソフトは、とりわけデータベースに関して互いを意識しているようであり、両者とも機能や性能の優位性に関し、第三者の調査結果を用いて比較を行っている。Oracle GRIDを特集する今回の記事では、Oracle Databaseを優位とする調査結果を紹介する。なお、この調査結果は、ITmediaの見解ではないことを改めてお断りしておく。
Oracle DatabaseとSQL Serverを比較する調査はいくつもあるが、今回紹介するのは米EDISON Group社が2006年3月に実施した「管理コスト比較調査」である。このリポートは、Oracle Database 10g R2とSQL Server 2005の2つの製品で、同等の管理タスクを実行するために必要な労力を比較したものである。
その結果によると、Oracle DatabaseのDBAは、SQL ServerのDBAに比べ、38%ほど短い時間で一般的な管理業務を実行できるという。また、Oracle Databaseで管理作業を実行するのに必要なステップ数は、SQL Server 2005よりも30%少なく、DBA 1人あたり年間で31,664ドル安く管理できるとのことだ。
こうした調査結果を裏付けるのが、Oracle Databaseに搭載された各種自動管理機能だ。Oracle Databaseは、統計情報や負荷の高いSQL文の情報など、データベースの稼働状況に関するさまざまな情報を「自動ワークロード・リポジトリ(AWR)」に保存している。このAWRの情報は、Oracle Databaseの多くの自動管理機能が使用する仕組みになっており、例えばデータベースのパフォーマンスを監視/診断する「Automatic Database Diagnostic Monitor(ADDM)」、データベースの問題点を検出して解決方法を提示したり、設定変更の影響をシミュレートしたりする診断機能「アドバイザ」、システムグローバル領域内のメモリ配分を自律的に調整する「自動共有メモリー・チューニング」などは、AWRの情報を基に機能する。そして、データベースに問題が発生した場合は、直ちにDBAにアラートを通知する仕組みになっている。
とりわけ、DBAの負担を軽減するのが、データベースのチューニング機能だ。Oracle Databaseには、SQL文だけでなくレスポンスの遅いアプリケーションを抽出して最適化する機能がある。アプリケーションの処理内容をブレークダウンして原因を突き止め、ボトルネックとなっているSQL文をチューニングするというものである。こうした問題究明が可能なのは、データベース、アプリケーション、ネットワークの管理ツールが「Oracle Enterprise Manager Grid Control」によって統合されているためだ。
こうした機能の効用が認められ、管理コスト削減に効果があると判断されたのだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.