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» 2007年06月18日 14時52分 UPDATE

Windows版SafariはiPhone用アプリのプラットフォームの可能性――Mac開発者の見方

AppleがWindows版Safariを公開した目的について憶測が飛び交う。まもなく発売されるiPhone用プラットフォームだという見方が強い。

[Daniel Drew Turner,eWEEK]
eWEEK

 AppleのSafariブラウザがWindowsユーザーの間で好評だ。カリフォルニア州クパティーノに本社を置くコンピュータ企業のAppleは6月14日、Webブラウザ「Safari 3」のWindows対応バージョンのβ版の提供を開始してから最初の48時間で同社のWebサイトからのダウンロード数は100万本を超えたことを明らかにした。

 しかし、同ブラウザの人気に冷水を浴びせるようなニュースも飛び込んできた。Windows版Safariの提供が開始されてから数時間もたたないうちに発見された多数の脆弱性を修正するパッチをAppleがリリースする前に、同ブラウザの新たなセキュリティホールがセキュリティ専門家によって発見されたのだ。

 セキュリティ専門家のロバート・スウィーキー氏によって公表された新たな欠陥は、攻撃者がcookieを盗み出したり、ブラウザウィンドウに任意のコンテンツを表示させることを可能にするというもの。

 新たに修正されたバージョンのSafariでは、メモリ読み取り問題、JavaScript攻撃、URL認証問題など、今回発見された脆弱性以外のさまざまなセキュリティホールに対処した。

 大半のMacintosh開発者は、Windowsプラットフォームにあまり関心を持っていないため、Safariのパッチのニュースにそれほど注目していない。しかし、Windows版Safariが一般向けにリリースされた直後に次々と出てきた脆弱性の報告にAppleが迅速に対応したことを評価する開発者もいる。

 Vertigo Softwareのソフトウェア開発者であるジェフ・アトウッド氏は、「Appleが批判やバグリポートに素早く対応するという形でWindowsプラットフォームへのコミットメントを示しているのは喜ばしいことだ」と話している。

 「だが、Windows版Safariは正統なWindowsアプリケーションではなく見せかけのMacエミュレータなので、やや興ざめする」と同氏。

 この新しいWindowsアプリケーションは、先週サンフランシスコで開催されたWorldwide Developer Conference(WWDC)で披露されたが、同カンファレンスに来場した開発者たちは全般的に、今回のAppleの狙いについて懐疑的な見方をしている。

 「Safariはどう言いつくろってもMacアプリであり、ウィンドウの最大化動作を除けば“Windows式”に動作するものは何もない」とアトウッド氏は指摘する。

 ソフトウェア業界観測筋によると、Windows版SafariはWindows標準ではなくMac OS X標準のインタフェース要素を採用しているという。ソフトウェア開発者のジョエル・スポルスキー氏は、Windows版Safariでは、フォントの表示に独自のフォントスムージング/サブピクセルレンダリング技術を使用していると指摘する。

 「これに対して不満を表明する人もいるが、これは意図的にそうしたのに違いないと思う」とアトウッド氏は話す。

 「SafariはIEやFirefoxの地位を狙ったものではなく、Macエミュレータなのだ」と同氏は付け加える。「Safari対応のWindowsアプリやiPhoneアプリを容易にテストできるようにすることにより、これらのアプリの開発者を促進するのが狙いだ。これで開発者は、WebアプリがSafari上できちんと動作するか確認するのに、Macを借りたり盗んだりしなくても済む」。

 Appleのスティーブ・ジョブズCEOはWWDCのキーノートスピーチで、サードパーティーが自社のアプリケーションをAppleのiPhone上に対応させる唯一の方法は、Web 2.0技術を使用し、iPhoneに搭載されたSafari Webブラウザ 上で動作させることだというのが同社の現在の方針であることを明確にした。

 「この観点から考えれば――ビジネス的に意味のある観点はほかに思いつかないが――Safariの動作がMac版に近ければ近いほどいいということになる」とアトウッド氏は話す。

 オリジナルのMac OS X版Safari用の拡張機能「Saft」を開発したハオ・リー氏も、アトウッド氏と同意見だ。

 「わたしのみるところでは、AppleがWindows版Safariをリリースする唯一の理由は、iPhone向けの開発を促進することだ。Windows版SafariがPC用ブラウザの市場シェアに影響するとは思わない」とリー氏は語る。

 Windows版Safariは無償でダウンロードできるが、Appleにとって大きな収益源になる可能性もある、と指摘する人もいる。

 「Daring Fireball」というWebサイトを運営しているジョン・グルーバー氏はその中で、「あまり広く知られてはいないが、Webブラウザのツールバーに組み込まれた検索バーは収益を生み出すのだ。SafariのツールバーからGoogle検索が行われると、Googleは検索結果ページから得られる広告収入の一部をAppleに支払うのだ」と述べている。

 「わたしが調べたところでは、Appleは現在、Safariに組み込まれたGoogleツールバーから毎月約200万ドルの収入を得ている。これは1年間で2500万ドルになる。Windows版Safariがそこそこ成功すれば、年間1億ドルあるいはそれ以上の収益源に成長する可能性がある」(同氏)

 開発者コミュニティーの間では、Windows版Safariの出自をめぐる疑問もわき起こっているようだ。

 Appleは、iTunesやメディアプレーヤーのQuickTime Playerなど、以前からWindows向けのソフトウェアを開発しているが、Windows版SafariはMac OS Xのコア技術の一部をWindowsプラットフォームに持ち込むものだと指摘する向きもある。

 例えば、「Program Files」ディレクトリの「Safari」サブディレクトリには、CFNetwork.dll、CoreFoundation.dll、CoreGraphics.dll、WebKit.dllといったコンポーネントが含まれる。

 こういったことが、Appleは今後、ほかのAppleアプリケーションをWindowsに移植しやすくなるのではないか、また同社はMac OS XだけでなくWindows用のコードを作成できる社内用バージョンの開発環境「Xcode」を持っているのではないか、といった憶測につながったようだ。

 現時点ではAppleの担当者のコメントは得られていない。

 Safari 3.01 for Windowsのβ版は、AppleのWebサイトから、もしくはSoftware Update Applicationを通じて入手できる。

原文へのリンク

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