MS、Forefrontセキュリティ製品ラインを5000万ドルでテコ入れ

MicrosoftはForefrontの販売、サポート強化のために5000万ドルを投入する。パートナーシップの強化も図っていくという。

» 2007年07月13日 06時00分 公開
[Lisa Vaas,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftでは、自社の「Forefront」セキュリティ製品ラインの販売、マーケティング、トレーニング、サポートを強化するために、5000万ドルの資金を追加投入する計画だ。7月11日にコロラド州デンバーで開催された同社のWorldwide Partner Conferenceで明らかにされた。さらにMicrosoftは、「Security Software Advisor」プログラムの参加資格も拡大する。これは、より多くのパートナーが同プログラムを通じて最大30%の奨励金を受け取れるようにするのが目的だ。

 Forefrontは、エンタープライズセキュリティ市場への参入を目指すMicrosoftが手にしている武器である。ワシントン州レドモンドを本拠とする同社が昨年12月8日にForefrontの最初のコンポーネントを発表したとき、Gartnerのジョン・ペスカトール氏をはじめとするアナリストらは、Microsoftが同市場に進出したことで、価格圧力が高まるだけでなく、McAfeeやSymantecといった業界大手は早急に技術革新を迫られるだろうと予測した。

 ペスカトール氏は当時、米eWEEKの取材で「Microsoftのこれまでの取り組みの結果、SymantecとMcAfeeは既にフィッシングなどの新たな脅威への対処を急いでいる。価格圧力が高まるのも間違いなく、この市場のほかのベンダーも必死にがんばらないと生き残れないだろう」と語った。

 それから7カ月後の今日、MicrosoftはForefrontをテコ入れしなければならなくなった。同社の「OneCare」製品が複数のサードパーティーのアンチウイルステストで落第したからだ。「Forefront Client Security」は、OneCareと同じアンチウイルス/アンチスパイウェア技術をベースにしている。例えば、AV-Comparative.orgのテストでは、OneCareの成績は最下位だった。このテストは、17種類の製品を対象に3つのカテゴリー(ウイルス/マクロ/ワーム/スクリプトの検知、バックドア/トロイの木馬などのマルウェアの検知、これらのテストの結果を総合したカテゴリー)で行われたもの。

 しかしMicrosoftのセキュリティ&アクセスパートナー部門のマーケティングディレクター、マーク・ハッサル氏によると、Forefrontは決してぶざまなまねはしていないという。MicrosoftのSSA(Security Software Advisor)プログラムには現在、4000社以上のパートナーが参加している。

 「反応は上々だ」とハッサル氏は取材で答えている。SSAプログラムでは、MicrosoftはWebキャストと実地訓練を通じて数千社のセキュリティパートナーのトレーニングを行った。

 Microsoftが2005年2月にウイルス対策ベンダーのSybariの買収に伴って取得した技術をベースとするForefrontは、ウイルスやスパム、ワームなどからサーバソフトウェアを防御するツール。同製品の中核となるのはSybariの「Antigen for Exchange」アプリケーションで、これは主要セキュリティソフトウェアメーカーから提供されている9種類のウイルススキャニングエンジンから取得したセキュリティ関連データを単一のインタフェースに集約するというもの。

 ハッサル氏によると、Microsoftのソフトウェア業界パートナー各社は、Forefrontがもたらすビジネスチャンスを「素早く察知した」という。

 「当社のパートナーの多くは、セキュリティ評価やアーキテクチャ面のガイダンスを提供する業務を手がけている企業であり、彼らは既にインフラ最適化モデルを活用して、ForefrontとSystem Centerをベースとするセキュアで管理性に優れたインフラソリューションを提供している」とハッサル氏はMicrosoftの社内インタビューで答えている。

 「インフラソリューションにForefrontを付加するチャンスはたくさんある。例えば、ExchangeとSharePointのセキュアな配備を行うのにForefrontを利用すれば、顧客の既存のITインフラとの連携を通じて、強固な防御と優れた管理性を実現することができる」(同氏)

 ハッサル氏によると、Forefrontのリセラーの1社であるCompuComでは、SharePointとExchangeの案件の10〜20%でForefrontを追加提供できると予想している。

 Forefrontのマーケティング、販売、トレーニング、サポートの強化に5000万ドルの資金を投入する計画に加え、Microsoftは「Security Solutions Competency」プログラムも拡大した。新たな専門分野、資格、プログラム特典を追加することにより、パートナーがインフラソフトウェアを販売し、顧客アドバイザーとしての役割を果たす取り組みと同プログラムとの連携を緊密化するのが狙いだ。

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