SIベンダーとして基盤技術を培ってきたJIECが、ログ管理サービスでSaaS事業に参入する。その理由とは……。
JIECは8月30日、内部統制に必要なログの収集、保管、分析ができるSaaS型のログ統合・証跡管理サービス「Log Shelter」を2008年4月から提供すると発表した。同サービスは中小企業など、主にSMB市場の企業を対象にしている。大企業向けにシステムインテグレーター事業を行ってきた同社が、中小企業向けのSaaSビジネスに乗り出す理由とは。
「365日24時間稼働し、高いセキュリティを備えたサービスを提供できる基盤技術が特徴だ」。JIECの常務執行役員、山菅利彦技術統括本部長は、同社が培ってきた技術に自信を見せる。同社のいう基盤技術とは、すべてのアプリケーションの土台となるシステムやデータを連携・統合するシステムを指す。具体的な製品でいえば、ログ管理の「SenSage Enterprise Security Analytics」が挙げられる。
JIECがSaaS事業に進出するのは、基盤技術の転用にある。同社技術統括本部の川端卓技術部リーダーは、SaaSが社会基盤として普及するための条件に、セキュリティ面などを考慮した堅牢で柔軟なシステムを構築することを挙げた。川端氏は、「JIECは、システム構築や連携に強みを持つ。このノウハウを使うことで、企業のSaaS活用の推進に寄与できる」と説明し、「総務省は『ASP・SaaS普及促進協議会』を設立し、ASPやSaaSによる中小企業のIT化をも国策として推進している。この動きに貢献したい」と意欲を見せた。
将来の展望にも触れた。「SaaSを提供するだけではない。SaaSビジネスを展開しようとしている企業に基盤技術を提供することも考えている」と構想を示した。「セールスフォース・ドットコムなど、外部のシステムとも連携してSaaSの普及を進めていきたい。シェアを奪い合うのではなく、助け合っていく姿勢をとる」(川端氏)
基盤技術によるシステムインテグレーター事業に加え、SaaS事業を展開することで、大企業から中小企業にまでリーチをのばしたサービスを提供する。これがJIECの描く青写真だ。
SaaSの基盤技術をサービスとして提供するには、実際に、SaaS事業を展開してノウハウを蓄積する必要がある。SaaS事業としてスタートするLog Shelterには、基盤技術の転用のためのステップとも言える。
Log Shelterは、監査に必要なログの収集、保管ができる。ログを分析し、日本版SOX法に対応したリポートを出力できる。また生のログデータを10分の1、RDBMSに格納した時と比べて40分の1に圧縮できるほか、180種類以上のログフォーマットを保存する機能を備えた。「当面は、Windowsのイベントログと、シスコなどのネットワーク機器のログの収集に特化したサービスを展開する。対象となる中小企業の顧客は大規模なストレージではなく、Windows Serverなどにデータを保管してる場合が多いからだ」(川端氏)
価格は、月当たりのログ収集量と保管ログの総量による課金式をとり、初期費用65万円、月額15万円からとなる。初年度に30社の導入を見込む。
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