作業環境を改善せよ さもなくば日本のエンジニアは壊滅する!遅れた日本のソフトウェア開発 その原因はここにあり!?(1/3 ページ)

日本のソフトウェアエンジニアの作業環境は、海外企業のそれとまるで異なるとか。ほうっておくと、日本人エンジニアはいずれ、失職する恐れが……。

» 2007年09月05日 09時00分 公開
[高橋寿一,ITmedia]

 米グーグルでは食事がタダに。米マイクロソフトではソフトドリンクが飲み放題。そのほか、米国のIT企業の多くでソフトウェア開発者は全員、個室を与えられている――こんなこと、日本の企業であるだろうか?

驚愕!? 海外企業における個室の作業スペース

 米国のみならず先進諸国においては、ソフトウェアエンジニアの労働環境は総じていい。世界一巨大なソフトウェア会社のマイクロソフト、欧州最大のソフト開発会社として有名なSAPで働いた経験から、そう感じる。どちらの会社も、さまざまな側面において一部から厳しく評されることもあるが、そんな評判とは裏腹に、エンジニアの労働環境は良かった。

 ご存知かもしれないが、米マイクロソフト本社のオフィススペースは筆者が勤めていた当時、完全な個室型になっていた。一人ひとりに6畳ほどの大きさに仕切られたスペースを与え、自由に使わせていたのだ。例えば、みんなお気に入りのソファーや家具を置いていた。ソニーの「プレイステーション」などではなく、街中のゲームセンターに置かれている、あの大きなゲーム機を持ち込んでいる社員もいた。さらに、犬を連れてきたり赤ちゃんを抱きかかえて出社する社員もいた。まさに、「自由の国アメリカ」を感じさせるものだった。

 そうした海外企業の事情を日本企業の経営者に紹介すると、決まって「日本は土地代が高くオフィスを保有するコストがかさむため、そんなことはできない」という答えが返ってくる。だが、現時点ではベイエリア(米カリフォルニア州北部。サンフランシスコ、シリコンバレー周辺)の方が家賃は高いはずだ。英ロンドンなんて、もっと高い。

 残念ながら、日本の企業はソフトウェアエンジニアに快適な環境を与えることに積極的ではない。海外では、生産性を向上させる投資と考えられているのにもかかわらず、だ。ある日本企業で管理職を務めるO氏にそのような話をしたところ、「個室なんか与えたら、会社に来ているかどうか分からないじゃないか。出社しているからといって、仕事をしているかどうかも分からない」という答えが返ってきた。

オフィス効率を上げ、有能な人材の少数精鋭で

 確かに、社員に個室など与えると、会社に来なくなるかもしれない。筆者も米マイクロソフト時代、出社せずに自宅で料理などしていた(そう、実は料理が趣味である…)。金曜日だと、昼食後すぐにカナダに向かい、釣りざんまいの週末を過ごしたりもした(そう、アウトドアも趣味である…)。マネジャーは、週一回のグループミーティング以外、部下たちが出社しているかどうかなんて知る由もない。

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