「デジタルネイティブ」が導くエンタープライズ2.0

子供のころから双方向的なネットツールを使ってきた「デジタルネイティブ」世代が、企業にWeb2.0ツールをもたらし「エンタープライズ2.0」の先導役になるとGartnerは語る。

» 2007年09月21日 14時59分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 デジタルネイティブ――子供のころからインタラクティブなインターネットツールを使ってきた世代――がエンタープライズソーシャルソフト市場の成長を促進し、2011年までの売上高の年間伸び率は41.7%に上るだろう。米Gartnerのアナリストが9月19日、ラスベガスで開催のWeb Innovationsで語った。

 こうしたデジタルネイティブが大人になると、ブログ、wiki、マッシュアップ、RSSフィードなど、企業環境でもっと自由に共同作業ができるWeb2.0ソーシャルネットワーキングツールとともに会社に入ってくると、Gartnerのアナリスト、アンソニー・ブラッドリー氏は言う。

 「彼らは、仲間との交流の方法やそのためのツールへの期待を抱えて会社に入ってくる。そして、人間関係の構築や作業に利用してきたWeb2.0ツールがない組織に入ってしまったことにひどくがっかりするだろう」(同氏)

 従って、デジタルネイティブはGartnerが言うところの「エンタープライズ2.0」の先導役になるだろう。エンタープライズ2.0とは、ユーザーがリッチインターネットアプリケーション、ソーシャルソフト、Webプラットフォームを活用して作業を行う環境のことだ。

 ソーシャルソフトには、ソーシャルネットワーキング(Facebookのようなプロファイル)、ソーシャルコラボレーション(JotSpotのようなwikiとブログ)、ソーシャルパブリッシング(Diggのようなソーシャルタギング)など、他者と交流し、組織の効率を高めるツールが含まれる。

 従来のエンタープライズ1.0ツールは柔軟性に劣り、孤立的だが、エンタープライズ2.0技術は同僚たちを快適にするために、「フリーフォーム」、つまり非公式で雑然としていて、一般参加型である必要があるとGartnerのアナリスト、トム・オースティン氏は言う。

 同氏はGoogleを引き合いに出した。Googleはリンクでさまざまなものをつなぎ、何が最も価値があるかを予測し、複雑なものから価値を引き出すと同時に、ユーザーにとって簡単なものにしている。

 「社会構造について考えるとき、われわれは行動をコントロールしようとはしない。突発的な行動を促進しようとする。これは怖いが、有効だ」(ブラッドリー氏)

 オースティン氏は、企業は社内のソーシャルプロセスを支援するパーソナルツールとソフトにお金を投じる代わりに、まずビジネス上の目標を設定して、それを実現するための技術を選ぶべきだと主張した。

 企業は特に、自動化できない作業の効率を高めるソーシャルソフトを導入するべきだと同氏は言う。社員同士の関係作り、脅威や機会の発見、技術革新、チームの結成、指導、学習などがそうだ。

 要は、コミュニケーションを促進するために、互いに知り合い、共通の利益を確立するプロセスを迅速化するということだ。

 さらに、企業はエンタープライズ2.0の進化を、wikiなどのコラボレーションツールを「作れば人が来る」というようにとらえてはいけない。社員は時にコンプライアンスやセキュリティの制限のために、自然に情報を共有するわけではないため、企業の側がそうした障壁を取り除く必要があるとオースティン氏は指摘している。

 技術を使って顧客やパートナー、サプライヤーと交流する社外ソーシャルコラボレーションも同様に重要だとブラッドリー氏は言う。これまで企業はフォーカスグループや調査、アンケートを実施していたが、ソーシャルコラボレーションツールはもっと効率的に、より多くの人々からフィードバックを募ることができる。

 オースティン氏によると、Gartnerはこの市場が今後4年のうちに花開き、投資はブログやwikiからソーシャルソフトプラットフォーム、ブックマーク、ディスカッションフォーラム、専門知識管理、RSSフィードにも拡大すると予測している。

 ブラッドリー氏は最後に、今は専門の新興企業が企業向けwikiのAtlassianやSocialtext、ブログサービスのMovable TypeやWordpressなどの単一ソリューションを推進しているが、複数のツールを含む企業向けソーシャルネットワーキングスイートが作られるようになると語った。

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