企業を形成する「人」を見極めるツールとは…有能社員をとらえよ、手放すな! デキる逸材の「獲得術」

人材の資質を分析し、適性を判断するITがあるとか。「厳選」という採用方針を下支えするほか、採用した社員のやる気も引き出すのに使えるという。

» 2007年09月25日 06時00分 公開
[岡崎勝己,アイティセレクト]

 組織の活性化と人的資源の有効活用という視点から開発されたソフトウェアが、ソフトブレーン・ヒューマンが提供する「CUBIC Psychological System」だ。その特徴は、基本的に開発や克服がされにくいとされる人材の「資質」にフォーカスを当て、性格的な「向き不向き」を考慮して個人の適正を判断できる点にある。同社で採用プランニンググループの主任を務める根本裕治氏は「面接で判断できる能力は氷山の一角にすぎない。『CUBIC』では、目に見える性格の裏に隠された、潜在意欲や資質などを心理学の面から探ることを目的としている」と「CUBIC」の意義を説明する。

メンタルヘルス面のフォローにも

 「CUBIC」ではまず、20分ほどかけて簡単な筆記試験を実施。その回答から、ソフトウェアが人材の資質を分析し、数分ほどで結果を出力する。外部の業者に分析作業を委託する場合と比べ、作業に必用な時間を大幅に削減できる。面接前に試験を実施すれば、面接の「質」を高めることも可能だ。

 根本氏によると、「CUBIC」はさまざまな面で大いに活用を見込める。例えば、社内で「デキる人材」の資質を分析し、どのような性格の人が活躍しやすいのかを把握すれば、その結果を踏まえて採用に当たることができる。入社後、活躍している人材は一般に2〜3割といわれている。そのため、「わが社で活躍する人材像」を基礎データ化し採用活動を行うことで、企業としてのパフォーマンスをより高められるというわけだ。人材を厳選して採用する機運が高まる中で、こうした活動に取り組む企業はもはや少なくない。

 分析要素である「モラトリアム傾向」や「勤労意欲」は、社員の仕事のやる気に大きく左右される。「CUBIC」はデータを蓄積/加工することができるため、社員に継続的にテストを受けさせることで、メンタルヘルス面での迅速なフォロー活動も実施できる。

 さらに、診断結果はさまざまな形に加工して出力できることから、社員にフィードバックし、今後の行動の指針として活用することも可能だ。

 もっとも、「CUBIC」はほかの心理テストと同様、あくまで人材の資質を推し量るためのものにすぎない。

 「営業の適正があまりない人が営業職を志望した際、『育て(て配置す)る』という判断もあり得る。検査結果はあくまでも指針の一つ」(根本氏)

 企業は「人」によって形成される。企業価値を高めるために「CUBIC」をいかに使いこなすかは、利用する会社側の力量にかかっているといえそうだ(「月刊アイティセレクト」10月号の特集「有能社員をとらえよ、手放すな! デキる逸材の『獲得術』」より。ウェブ用に再編集した)。

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