いまや「人は褒めて育てる」のが常識になりつつある。ただ、褒め方を間違えると、かえって部下のやる気をそぐ結果に。「褒める技術と仕組みづくり」について探ってみた。
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やる気を引き出そうとして部下を褒めたが反発された。あるいは、元気がない部下に励ましの言葉をかけ続けたが、1カ月後に会社を辞められてしまった……。
部下に最大限のパフォーマンスを発揮してもらうため、怒鳴りつけたい気持ちを抑えてまで褒めたのに、それが裏目に出てしまった経験はないだろうか。
どうしてこんなことが起きるのか。『5%の人を動かせば仕事はうまくいく』(すばる舎)の著者で経営コンサルタントの長谷川和廣氏は、褒める側の問題点を次のように指摘する。
「褒める技術ばかりが先行して、部下の状態を見極めるというプロセスを踏まない管理職が多い。褒め言葉は、けっして万能薬ではない。何でもかんでも褒めればいいってものではない。相手の状態に合わせて褒め方・叱り方を変えないと、かえって部下のモチベーションを低下させるリスクがあります」
では、具体的にどのように相手の状態を見極めればいいのか。長谷川氏によると、部下の心理状態は「自信」と「向上心」によって、次の4つにカテゴライズされるという。
(1)成長状態
現状の成果に一応の自信を持っているが、さらに高いパフォーマンスを発揮できると考え、努力を続けている状態。
(2)自己満足状態
自分のパフォーマンスに満足して、それ以上の努力をしなくなってしまった状態。
(3)スランプ状態
結果を出したいという意欲はあるが、何をやってもうまくいかず、自信を喪失している状態。
(4)無気力状態
自分のパフォーマンスに自信が持てず、何かを変えようという意欲さえ湧いてこない状態。
部下の心理状態が違えば、それに合わせて褒め方・叱り方も変わる。それを無視して一方的に言葉を投げかければ、部下の心に響かないのも当然だ。では、さっそく状態別に効果的な褒め方・叱り方を見ていこう。
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